ルール変更で日本、ドイツは自動車小国になるかもしれない

世界の一部で、急速に電気自動車が普及し始めています。
そして、今まで世界の自動車産業をリードしてきた日本とドイツがその成功体験から抜け切れないがゆえにその地位から転げ落ちる可能性が出てきました。
電気自動車大国の登場
電気自動車大国。それは中国です。その理由はあの薄汚れた空を見ればよくわかります。粗悪ガソリンで燃焼した汚い排気ガスが大気中に吹き出たPM2.5の漂う灰色の空です。
まるでいつも霧の中なのですから、排気ガスを出さない電気自動車が強力に推進されるのもうなづけるのではあります。空気清浄器をつけっぱなしにしておけば、フィルターは真っ黒。マスクも同じです。日本では考えられません。
以下は世界の大気汚染の状況を示しています。

それでも以下のグラフを見れば大気汚染に悩まされる中国人は減ってきているようです。状況は多少好転してきたのでしょう。(黒線が大気汚染です。)

(出所:社会実情データ図録)
2017年に中国で販売された電気自動車は60万台、それが翌2018年にはなんと150万台というから驚きです。
ちなみに日本の自動車販売は1年でだいたい500万台です。いかに中国が巨大市場であるかがわかろうかというものです。
アメリカは?そして日本、ドイツは?
2位はアメリカで年間50万台程度が電気自動車となっています。なんと中国の半分以下のレベルです。
中国の電気自動車の比率は約2%。低いように思えますが、アメリカは1%未満ですから、比率では既に大きく上回ります。ただし、まだまだ人口当たりの自動車台数は遠くアメリカには及びません。
さて、自動車産業の勝ち組、日本とドイツはどうなっているのでしょうか。
まず日本。電気自動車の占める比率は約0.5%です。100台に1台もありません。
そしてさらに意外なのがドイツです。環境問題にうるさいヨーロッパですから、さぞかし普及しているかと思いきや、なんと0.1%以下・・・。1000台に1台もないというからほとんど走っていないと思って差し支えないレベルです。
日本、ドイツで電気自動車が普及しない理由
それにしてもなぜこんなことになってしまったのでしょうか?
日本とドイツは内燃エンジンの自動車で成功しすぎというほど成功しました。
産業構造は上から下まですっかりエンジンを前提としたものに出来上がっています。それを急に電気自動車に変えることは困難なのです。ありとあらゆるしがらみが絡みつき、急旋回はできません。
その点、新たに成長してきた中国は強い。しがらみもないので、電気自動車に一気呵成に注力することができます。
電気自動車の強み、そして日用品化へ
そして、電気自動車は、内燃エンジンの自動車よりも必要な部品数が圧倒的に少ない。
通常3万点といわれるところ、1万点の部品で済んでしまいます。
そう、中国は自動車業界のルールを変えようとしているのです。近い将来、自動車は電化製品よろしく、コモディティ化し、単なる組立て産業に変貌する様相です。
そうなればコスト競争力に長けた中国の出番というわけです。
なにしろ中国では外国の自動車メーカーが中国へ進出するとなれば、必ず合弁会社にする必要があります。
技術供与が義務付けられ、技術は吸い取られていきます。合弁企業ですから乗っ取られていく可能性が高い。いいとこ取りをされておしまいなのです。
アメリカが今怒っているのはそんな中国の姿なのです。
近未来の自動車産業
あと20年も経てば、ヨーロッパを中心にガソリン車やディーゼル車の新規販売は禁止されていきます。エンジンで走るクルマはブラウン管のテレビやVHSのビデオデッキ、もっと言えばレコード盤と化してしまう可能性は十分です。
テスラが黒字化し、時価総額でトヨタを抜いたのはそんな将来を見透かしているせいなのかもしれません。
電気自動車の世界シェアは1位こそ、テスラですが、2位から4位までは中国企業です。そしてやっと5位に日産という序列です。放っておくと、パソコンやスマホ同様、自動車も中国に圧倒的シェアを奪われる日はそう遠くなさそうなのです。
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