Jリート市場、大口の投資家が手を引くのか!?

コロナ騒動で暴落、そして小反発。そして戻りが鈍いままのボックス相場入り。まあ想定内の動きではあります。以下は最近の東証リート指数の動きです。

ところで近々、Jリート市場から大口投資家が一人いなくなる可能性があるというのですから、いささか気がかりなのです。
Jリート大口投資家の一人とは・・・
大口の投資家。それは日本銀行です。
日本銀行は金融緩和政策の一環として、2010年からJリートの買付けをしています。
しかし、さすがは日本銀行、どんなリートでもいいってわけではありません。
格付会社からダブルA以上の格付けを取得していることなどの厳しい条件があります。要するにJリートの中でも優良な銘柄に絞られているというわけです。
また、いくら経済対策といっても青天井に買い入れるわけにはいきません。導入当初の上限は発行済投資口数の5%が上限でした。
金融緩和だけではうまくいかず・・・
しかし、いくら金融緩和をしてもなかなか2%のインフレターゲットに手が届きません。
2014年に行われた5%から8%への消費増税はアクセルを吹かしながら同時にブレーキを踏むという安倍政権の超愚策でした。これがきっかけとなり一気にインフレターゲット達成の道は遠のいたのです。まるで蜃気楼のように・・・。
やむなく日銀はJリートの買入上限を10%に上げ、さらなる金融緩和を続けました。
積みあがった日銀保有のJリートの時価総額は約6,000億円にまで増加しています。それでもなお、デフレからの脱却は道険しなのです。 (そもそもJリートの買入れなどしれてはいますが)
買入上限に近づき上限アップ
そして、ここにきて上限10%に近づく銘柄がちらほらと現れてきたのです。日銀はどの銘柄を買い入れているかを公表していませんが、大量保有報告書を見れば大口投資家として保有している銘柄は把握できます。
日経新聞の報道によれば、SMBC日興証券の分析では7銘柄が9%に達したのではないかということです。また、日銀が買い入れている銘柄は23銘柄ではないかとも分析しています。Jリートは全部で60銘柄ちょっとですから約3分の1ほどになります。
その23銘柄も近い将来上限に達するのではないかと見られています。
今後の動静次第で相場にも影響が
さらなる上限の引き上げはあるのか?今のところ、動向は不透明です。
日銀は必要に応じて判断するとしており、もし不要だと考えれば、Jリートの大口投資家の一人がいなくなることになります。今年、あるいは2021年中に上限引き上げとなるかによって、Jリートの相場動向が大きく左右されることになりそうなのです。
しかし、実際問題こんな景気動向なのですから、再度の上限引き上げは当然になされるものと予想します。(というかしてくれ)
減税に消極的な自民党および財務省に比べれば、日本銀行は真っ当な政策を打っており、日本を支えているのは政治家でも官僚でもなく、日本銀行様ではないかと思う今日この頃なのです。
【参考】優良格付けを取得しているJリート群
1つ以上の格付会社からダブルAマイナス以上の格付けを取得しているJリート
・日本ビルファンド投資法人(8951)
・ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)
・日本リテールファンド投資法人(8953)
・オリックス不動産投資法人(8954)
・日本プライムリアルティ投資法人(8955)
・プレミア投資法人(8956)
・東急リアル・エステート投資法人(8957)
・グローバル・ワン不動産投資法人(8958)
・ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)
・森トラスト総合リート投資法人(8961)
・フロンティア不動産投資法人(8964)
・日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
・福岡リート投資法人(8968)
・ケネディクス・オフィス投資法人(8972)
・大和証券オフィス投資法人(8976)
・阪急阪神リート投資法人(8977)
・大和ハウスリート投資法人(8984)
・ジャパンエクセレント投資法人(8987)
・日本アコモデーションファンド投資法人(3226)
・MCUBS MidCity投資法人(3227)
・森ヒルズリート投資法人(3234)
・産業ファンド投資法人(3249)
・アドバンス・レジデンス投資法人(3269)
・アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)
・GLP投資法人(3281)
・コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282)
・日本プロロジスリート投資法人(3283)
・イオンリート投資法人(3292)
・ヒューリックリート投資法人(3295)
・インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)
・積水ハウス・リート投資法人(3309)
・野村不動産マスターファンド投資法人(3462)
・ラサールロジポート投資法人(3466)
・三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
・三菱地所物流リート投資法人(3481)
・ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)
・日本リテールファンド投資法人(8953)
・オリックス不動産投資法人(8954)
・日本プライムリアルティ投資法人(8955)
・プレミア投資法人(8956)
・東急リアル・エステート投資法人(8957)
・グローバル・ワン不動産投資法人(8958)
・ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)
・森トラスト総合リート投資法人(8961)
・フロンティア不動産投資法人(8964)
・日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
・福岡リート投資法人(8968)
・ケネディクス・オフィス投資法人(8972)
・大和証券オフィス投資法人(8976)
・阪急阪神リート投資法人(8977)
・大和ハウスリート投資法人(8984)
・ジャパンエクセレント投資法人(8987)
・日本アコモデーションファンド投資法人(3226)
・MCUBS MidCity投資法人(3227)
・森ヒルズリート投資法人(3234)
・産業ファンド投資法人(3249)
・アドバンス・レジデンス投資法人(3269)
・アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)
・GLP投資法人(3281)
・コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282)
・日本プロロジスリート投資法人(3283)
・イオンリート投資法人(3292)
・ヒューリックリート投資法人(3295)
・インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)
・積水ハウス・リート投資法人(3309)
・野村不動産マスターファンド投資法人(3462)
・ラサールロジポート投資法人(3466)
・三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
・三菱地所物流リート投資法人(3481)
全部で35銘柄ありました。日銀はこれらの中から他の基準でさらに選別して投資しているものと考えられます。
日銀が買入上限を上げなければ、買い手は少なくなり、全体的に地盤沈下を起こすとともに、優良銘柄とその他の銘柄の利回り格差は縮小すると見ます。
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