大手証券もリテール大苦戦。配置転換でリストラが進むであろう

株価ボード



証券業界の最大手にまで、苦難の波が襲ってきています。主に苦戦しているのはリテール部門です。

リテール部門の収益は安倍政権発足前の水準にまで落ち込んでおり、今後のV字回復も期待できそうにありません。



リテール部門の悲惨な状況


大和証券のリテール部門の営業収益は安倍政権発足以降で最低水準にまで落ち込んでしまいました。

ガリバー、野村証券もほぼ似たような状態です。

株価水準はそれほど下がっていないにも関わらず、収益が落ち込んでいる要因は構造的要因と特殊要因に分けることができます。

収益低迷の構造的要因


なんといってもネット証券やスマホ証券の台頭が従来型の対面営業に大きなダメージを与えています。その魅力はなんといっても手数料の安さと利便性です。

コストパフォーマンスは良いし、情報量も多く、24時間発注できる上に、変なセールスを受けることもないので安心です。

対面証券は、ネット証券のように手数料を安くすれば儲かりません。当然安くしないからお客は逃げてしまいます。

もはや個人の株式取引の9割以上はネット経由で行われています。いまどき電話で株式の注文をする人は天然記念物レベルとなってしまいました。

ネットを使えない、あるいは使わない高齢者が主な顧客層なのでしょうから、今後、市場のパイが拡大することはありません。

ひたすら縮小均衡路線をひた走ることになります。

収益低迷の特殊要因


ご想像のとおり、特殊要因は新型コロナ騒動による影響です。

罹患すれば死亡する確率の高い高齢者が主な顧客層なのですから、顧客サイドも営業サイドも神経質にならざるを得ません。

スカイプなどでの会話ができるのならば、そもそも対面証券を使っていないでしょうから、営業するとなれば直接会うしかありません。

上述のとおり、株式取引の需要はネット証券に奪われてしまいましたから、収益の柱は手数料が高い仕組債や投資信託などとなっています。

ところが、これらの商品は複雑な仕組みのものが多いですから電話での説明は難しい。かといって直接会って説明することもできないというジレンマに陥っています。

現状打破のための施策


しかし、収益が低迷しているからといって社員を即解雇などできるわけがありません。そこで行われるのは配置転換です。

大和証券では2020年度中に事務などを行っている間接部門の人員約1600人を半分に減らし、営業部門に振り向ける方針です。

また、野村証券では営業部門の約7000人のうち4400人を法人や富裕層の担当に変更しています。お金にならない個人リテール部門からからホールセール部門へ人員を大きく配置転換したということです。

事務部門を縮小できる理由


それにしても大和証券はなぜ間接部門の人員を一挙に半分にまで減らすことができるのでしょうか。

これは日進月歩で進む業務のデジタル化が背景となっています。

紙ベースの業務は極限まで減らし、デジタルツールを駆使することで、物理的あるいは地理的な障壁を克服し、業務の集中化を進めています。

RPA、AIの進展による不可逆的な時代の潮流です。

配置転換がもたらすもの


さて、これらの配置転換、いったいどんな影響を生み出すのでしょうか。

事務部門にいた人がいきなり営業部門に配置転換されてもお客はそうそう見つかるものではありません。というかほとんど見つからないでしょう。

乾ききった砂漠で水を探すようなものです。会社が望むような営業成績を挙げられる人はごくごく稀であると考えられます。

野村証券の施策にはまだ救いがありますが、大和証券の施策は配置転換された事務部門の人間に厳しい二択を迫ることになるでしょう。

馬車馬のごとく働いて数字を上げるか、居心地が悪くなって辞めるかです。

証券業界には中小、中堅のみならず大手にまでリストラの手が近づいているようです。

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