日本、着実に先端産業の競争力が低下

貧すれば鈍すというのは本当です。世界の先端産業で日本はその地位を着実に下げつつあります。
日本経済新聞がまとめた「主要商品・サービスシェア調査」(2019年)によれば日本の地位が着実に下がっていることが明らかとなりました。
中国の台頭目立つ
調査の対象となっている商品は74品目。先端産業を中心に幅広い産業について調査しています。
トップシェアを誇るのはもちろんアメリカです。25品目でトップとなっています。クラウドサービスやサーバー、半導体製造装置など現代のIT産業を支える分野でのトップが目立ちます。
また、上昇気流に乗っているのが中国です。米中貿易戦争をもろともせず確実にその地位を高めています。
スマホ向け液晶パネル、リチウムイオン電池用絶縁体で日本からトップを奪い取りました。
またパソコンではアメリカのHPを抜き去っています。品目数では12品目でトップシェアを獲得しました。
驚くのはファーウェイ
驚かされるのはファーウェイです。アメリカから制裁を受け、世界各国からも排除されつつあるというのに、スマホのシェアでアップルを抜き、トップである韓国のサムスンに迫る勢いです。
2020年に入ってからの途中経過ではトップに躍り出た様子であり、制裁はまるで効果を発揮していません。
携帯電話の基地局ではさらにシェアを伸ばして世界の約3分の1を占めるまでになっています。
中国への制裁はもろ刃の剣
米中冷戦で、アメリカは中国にハイテク製品の輸出に制限をかけていますが、これが逆効果となる可能性が危惧されます。
輸出してくれなければ自前で作るしかない。そして、今や中国はその技術を獲得しつつあります。
中国が行っている「中国製造2025」はまさにこの流れに沿ったものです。
ハイテク製品の輸出制限はかえって中国の先端技術開発力を高める可能性が高い。かといって今までどおり、知的財産のタダ乗りをされるわけにもいきません。
アメリカを中心とする西側諸国は袋小路に入りつつあり、中国を抑え込めるかどうかは不透明です。
ぎりぎりのせめぎ合いが今後数十年にわたって続けられることになると考えられます。
日本の地盤沈下が目立つ
悲しい現実を突き付けられたのが日本。前年から4つもトップから陥落しました。
品目数でトップを占めているのは7つであり、韓国と同じです。
しかし、決定的に違うのはその品目なのです。
日本がトップを占めているのは、自動二輪やらデジタルカメラやら・・・。全盛期を終えたような産業ばかりなのです。7品目のうち5品目は市場のパイ自体が縮小している斜陽産業です。
いまどきデジタルカメラで写真撮るのは高級一眼レフを使うこだわり派くらいなものでしょう。
対する韓国はスマホ、有機ELパネルといった成長産業でトップを奪っており、日本の凋落ぶりと停滞が目に余ります。
日本凋落の原因
まるで日本は過去の遺産で食っているかのようです。いや、そうに違いありません。
その主たる原因は日本の科学研究にかける予算にあると考えて間違いありません。研究開発にかける支出が全くといっていいほど伸びておらず、世界各国に比べて相対的に減少していることがわかります。

(出所:「新世紀のビッグブラザーへ」三橋貴明氏ブログ)
研究開発費の増加が産業競争力の強化に貢献することは、近年の中国の研究開発費の異様な伸びをみれば明らかです。
そして、日本の研究開発費が伸びない背景は、我が国のデフレ化政策であることもまた明らかです。
科学技術の衰退は日本の株価にも当然跳ね返ってきます。将来の日本の株価に憂いを感じざるを得ません。
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