auカブコム証券、個人にもアルゴリズム取引の門戸を開く

サーバー



大手ネット証券の一つ、auカブコム証券はシステムの自社開発のメリットを生かし、他のネット証券とは一線を画す異色のサービスを提供しています。

IT技術に長けた個人投資家にとって、新たな取引手法、儲けの手段が提供されているのです。



高速取引業者は個人投資家の敵?


アルゴリズムを利用した取引は専門性の高い機関投資家の専売特許でした。

一刻でも早く注文が届くように、東京証券取引所内のコロケーション(※)にサーバーを置き、物理的な距離を縮め、専用ソフトで1秒間に数万回もの取引をして、細かな利ザヤを積み上げて稼ぐという手法です。

巨額の投資と高度なノウハウが必要であり、個人投資家が参入できる余地はありませんでした。

個人投資家は高速取引業者のカモにされてきたわけです。個人投資家にとって、高速取引業者の存在は胡散臭く、同じ土俵で戦うことのできない存在でした。

(※)コロケーション
証券取引所と同じデータセンターに設置した顧客向けエリアに発注用機器等を設置することができるサービス。通常の接続ではアクセスポイントを通る必要があるが、コロケーションエリアからは証券取引所に直接接続することが可能となる。


auカブコム証券が個人投資家のための環境を整備


そんな個人投資家の不満をくみ取って、auカブコム証券が個人投資家向けに高速アルゴリズム取引ができる環境を提供したのです。

auカブコム証券は2020年3月に東証内のコロケーションに取引用のサーバーを移設し、2020年8月下旬からサービスを提供しています。

これにより、サーバーから東証の売買システムまでの距離が近くなり、注文の届く時間が10ミリ秒(100分の1秒)ほど早くなるといいます。

auカブコムが提供する仕組み


auカブコムはAPI(※)という仕組みを使い、個人投資家にサービスを提供しています。

個人投資家はauカブコムのシステムに直接接続できるようになっているのです。そして、投資家にとって身近に感じられるのはエクセルで組んだプログラムでも大丈夫という点です。

専門的なプログラミング言語でなくてもよいのですから、心理的なハードルも低いといえるでしょう。

(※)API
Application Programming Interfaceの略。プラットフォーム側の汎用性の高い機能を外部から手軽に利用できるように提供する仕組みのこと。サービス提供者側で特定の指示や命令などのプログラムをAPIで公開しておくことで、利用者であるソフトウェア開発者がすべての機能を最初から開発する手間がなく、開発工程の大幅短縮が可能となり、コスト削減・運用負荷軽減など、さまざまなメリットがある。


まとめ


気になる料金ですが、これまたお手軽な料金で済みます。

せいぜい月数千円程度であり、大規模な設備投資もなくアルゴリズム取引に参入できるのは大きな魅力です。ネット証券でもこのようなサービスを提供しているのは現状、auカブコム証券だけであり、差別化を図っています。

SBI証券や楽天証券と同じ土俵で勝負しても勝てないauカブコム証券はその戦略を完全に独自路線に変えつつあります。

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