アメリカの対中政策転換を示す公文書の内容

アメリカ政府は2020年5月末、議会に対し、対中国政策を示した公文書を送りました。同文書内では今後の対中政策の基本方針を示しています。
そして、それは明らかにアメリカの対中強硬政策をさらに加速させるものでした。
公文書の概要
上記の公文書は、「アメリカの中国に対する戦略的アプローチ」と題されています。
この文書では中国によってもたらされた新型コロナウイルスがアメリカに甚大な被害をもたらしたことから、さらに中国に対する強硬姿勢が示されています。
それはそうでしょう。以下のグラフを見ればわかるように、アメリカは世界でもっとも多くの死者を出している最大の被災国です。

(出所:社会実情データ図録)
ただでさえ、対中強硬路線を歩んでいたところ、火に油を注ぐこととなりました。
公文書の内容は、「序言」「チャレンジ」「アプローチ」「実行」「結論」の5部構成となっています。以下、簡単にまとめてみます。
序言
・アメリカは中国との国交を樹立(1979年)以来、中国を支援してきた。
・その目的は中国の民主化であったがそれは失敗した。
・中国は強く、豊かになったが、独裁国家であり続け非民主的で人民を抑圧している。
・アメリカはアジア太平洋地域で、日本、インド、オーストラリアなどと協力して中国の台頭を抑止する。
・その目的は中国の民主化であったがそれは失敗した。
・中国は強く、豊かになったが、独裁国家であり続け非民主的で人民を抑圧している。
・アメリカはアジア太平洋地域で、日本、インド、オーストラリアなどと協力して中国の台頭を抑止する。
チャレンジ
現在の中国は以下の点でアメリカへのチャレンジとなっている。
(経済的チャレンジ)
・中国はWTOに加盟したがその規則を守っていない。
・中国は知的所有権を不当に利用している。
・「一帯一路」という不透明な経済政策を推し進めている。
(価値観へのチャレンジ)
・中国は共産党一党独裁政治により、少数民族を弾圧している。
・中国のプロパガンダは国内にとどまらず、海外への影響力を増している。
(安全保障へのチャレンジ)
・中国は軍事力増強によりその勢力圏を不当に拡大してきた。
・サイバー攻撃や軍民一体の企業であるファーウェイやZTEなどが他国の情報セキュリティを脅かしている。
・中国はWTOに加盟したがその規則を守っていない。
・中国は知的所有権を不当に利用している。
・「一帯一路」という不透明な経済政策を推し進めている。
(価値観へのチャレンジ)
・中国は共産党一党独裁政治により、少数民族を弾圧している。
・中国のプロパガンダは国内にとどまらず、海外への影響力を増している。
(安全保障へのチャレンジ)
・中国は軍事力増強によりその勢力圏を不当に拡大してきた。
・サイバー攻撃や軍民一体の企業であるファーウェイやZTEなどが他国の情報セキュリティを脅かしている。
アプローチ
上記のような仮想敵国ともいえる中国に対するアプローチを以下のようにまとめています。
・中国は民主主義を貶めるプロパガンダを繰り返している。
・アメリカは法の統治を受け入れない中国を受け入れない。
・中国との合意には厳格な検証と執行のメカニズムが欠かせない。
・話し合いのチャネルは保つ。
・アメリカは法の統治を受け入れない中国を受け入れない。
・中国との合意には厳格な検証と執行のメカニズムが欠かせない。
・話し合いのチャネルは保つ。
実行
アメリカは台頭する中国を封じ込めるため、以下のような施策を実行すると言っています。
・5GやAIの分野でもアメリカの優位を保つよう努力する。
・軍事力を増強して中国の軍事力に対抗する。
・アメリカは日本や台湾との関係をさらに強化する。
・中国の言論封殺、少数民族弾圧を抑える。
・軍事力を増強して中国の軍事力に対抗する。
・アメリカは日本や台湾との関係をさらに強化する。
・中国の言論封殺、少数民族弾圧を抑える。
結論
アメリカは中国が強国化したことを認めつつ、アメリカの利益を守るべく影響力を行使していく。
感想
もはや静かなる戦争は深く進行しています。アメリカは自ら育て上げた強国、中国を仮想敵国とみなしていると考えて間違いありません。
しかし、アメリカ一国で中国を抑え込めるだけの力はもはやなくなりました。中国は売られた喧嘩は買う覚悟のようです。
そして、結局のところは自国の国益だけがすべてというところに集約していきます。日本は当然アメリカ側につきつつも、日本自らで国を守れるだけの国力をつけなければ今後の米中間の争いに振り回されることになることは自明の理なのであります。
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