自殺者数が急上昇。2020年9月の動向が今後を暗示する

氷河



不況(デフレ)と自殺には明確な相関があるといえます。デフレになれば自殺者数が増えるのは至極当然のことといえます。

なにしろ、倒産は増え、失業者が増大して経済的困窮に陥る人が増えるからです。



デフレと自殺との関連性、そして2020年は


デフレと自殺との相関関係は以下の記事をご覧いただければ一目瞭然です。
(関連記事:GDPデフレーターと自殺者数に相関はあるか?

2020年は、前年の消費税増税、それに加えたコロナ騒動で日本、そして日本のみならず世界的な大混乱に陥り、GDPの落ち込みようは凄まじい勢いでした。

にもかかわらず、6月まで、日本の自殺者数は前年同期に比べて下回っており、最近5年間の中でも最低水準に留まっていました。

しかし、2020年7月には一気に前年同月比を超え、8月にはここ5年の最高水準レベルにまで上昇してきています。不吉な気配がプンプンするのです。

失業と自殺との関連性


以下は最近5年間の自殺者数の推移を表しています。

2020911jisatu.jpg
(出所:厚生労働省(一部加筆))

ここ最近の増加傾向は、いよいよ深刻になってきたコロナ騒動の長期化による倒産、廃業の増加と、それに伴う失業者の増加による影響であろうことは容易に推測できます。

以下は失業者数と自殺者数の推移です。

20200911situgyou.jpg
(出所:社会実情データ図録)

失業が増えると自殺者が増え、失業が減れば自殺者は減るという単純な図式です。

世界的な自殺の傾向


ところで、国によって自殺に対する考え方は大きく異なります。以下は自殺をどの程度許容するかどうかを国別に比較したものです。

数字が大きいほど自殺を肯定している国ということになります。

20200911jisatukyoyoudo.jpg
(出所:社会実情データ図録)

しかし、自殺許容度に比例して、自殺者が多いかといえば実際にはそんなことはありません。

以下は自殺許容度と自殺率の相関を表しています。

20200911jisatusoukan.jpg
(出所:社会実情データ図録(一部加筆))

ざっくりと大きく3つのカテゴリーに分けることができます。

1.自殺を許容するが自殺は少ない国
2.自殺を許容しないし、自殺も少ない国
3.自殺を許容しないが自殺が多い国

どれが一番幸せで、どれが一番不幸でしょうか。

個人の価値観が入りますので一概にはいえませんが、1.の「自殺を許容するが自殺は少ない国」が一番幸福だと思います。なぜなら、自由な考え方を認める一方で、不幸な人が少ないと考えるからです。

一番不幸なのは3.の「自殺を許容しないが自殺が多い国」ではないでしょうか。

自殺してはいけないと考えているのに、自殺が多いということは不幸な人が多いと考えられます。そして、我が日本は残念ながら3.のグループに最も近いといえます。

さらに不幸なのは旧ソ連圏の国々と韓国といったところです。伝統的にロシアや韓国そして日本も自殺が多い国として知られています。要因は一つに絞ることはできません。多数の要素が絡み合った結果だと推察します。

2020年9月の自殺者数が今後を占う鍵


それにしても、ここ最近の動向はコロナの影響がいよいよ出てきたと考えることが普通ではないでしょうか。

明らかに6月までの状況とは違ってきました。企業の資金繰りも限界に達し、失望の念に駆られている人が多くなっていると考えられます。

これから秋から冬にかけて、ウイルスの活動が活発することを予想し、再び自粛モードが強まると思います。当然、経済活動は縮小し、デフレからは立ち上がれず、失業者が増加するでしょう。

そして、自殺に追い込まれてしまう不幸な人が増えると推測します。2020年9月、さらに自殺者数が増えるとなれば、ここ5年間で一気に最悪の月となります。

今後の動向を占う意味で、9月の自殺者数がどの程度になるのか注目しておかなければなりません。政府にはなんとしても国民経済を救うあらゆる施策を打つことを期待します。

節操がなさすぎる政治家


2020年9月10日、次期総理大臣の最有力候補、菅官房長官が、将来的な消費増税を示唆しました。徹底した行政改革をした上で消費増税を語っていたのです。

と思ったら翌11日には安倍首相と同じ考えで10年間は消費増税は必要ないなどという節操のなさ・・・。

批判されて、財務省の犬と思われたのが嫌だったのか、その心境は知る由もありません。

しかし、安倍首相以下の政治家であることは100%確実です。安倍首相もたいしたことありませんでしたから絶望しきりです。

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