グローバリズムによって世界大恐慌は各国へ伝播した

現代は過度のグローバリズムに否定的な見方が多くなってきており、それがトランプ大統領やイギリスのEU離脱の生みの親となりました。
人・物・金が国境をあっさり越えるフラット化した社会では中間層は没落して貧困化し、資本家がその分を搾取することになります。今、その不満が人々の間に蔓延しています。
紆余曲折のグローバリズム
グローバリズムは産業革命後に進んできたわけですが、一貫した右肩上がりを続けてきたわけではありません。過去には世界がグローバリズムにより悲惨な体験をし、グローバリズムが退潮した時期もあります。
そして、そのきっかけとなったのは1929年から始まった世界大恐慌です。
世界恐慌が起こる前、世界はグローバリズムに酔いしれていました。世界が貿易で結ばれ、資本や人、物が国境を越えて行き来していました。
以下は世界の貿易規模を示し、グローバリズムの進展具合がわかります。

(出所:社会実情データ図録)
そして以下はアメリカの失業率の長期推移です。

(出所:経済産業省)
世界大恐慌時、失業率は25.6%にまで跳ね上がっています。
グローバリズムと世界大恐慌
しかし、グローバリズムが進んでいた当時、アメリカ発の恐慌は瞬く間に世界へ伝播しました。
最も悲惨な影響を受けたのがドイツです。1932年には鉱工業生産が1929年の4割以上減少してしまいました。物価も4割近く下落し、失業率はなんと43.8%にまで達してしまったのです。ほとんど2人に1人は失業者ということです。
当然、ドイツ国民には強烈な不安と不満、怒りが沸き起こります。そして、生まれたのが、ナチスドイツという結末でした。
弾力的予算の法則
アメリカ、ルーズベルト政権下のFRB長官、マリナー・エクルズはドイツの姿を見て、「デフレは民主主義を破壊する。」という言葉を残しました。
マリナー・エクルズは大恐慌からの脱却を目指し、デフレ期には財政赤字を拡大させ、インフレ期には均衡財政を目指す「弾力的予算の原則」を唱えました。
実に真っ当な主張が今から100年近く前になされていたわけです。
しかし、そんな歴史に学ばないのが、現代日本の財務省や政治家、経済評論家、ジャーナリスト、大手マスメディアといった存在です。(一部は除く)
まとめ
コロナ恐慌から脱出するには財政拡大による公共投資が不可欠なのです。また消費税の凍結も必要となるでしょう。なのにやらない。
となれば出てくる結果は必然的にデフレ継続となり、株価の一段の上昇は望めないと確信するのであります。
なにやら日経平均5万円などと、とぼけたことを言っている人もいるようですが、バブル崩壊後の高値38,915円を抜くまでには、少なくともあと15年以上かかるというのが個人的見解です。(詳しくは関連記事の一番下をご覧ください。)
投資は自己責任で!
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