インヴィンシブル投資法人の運用報告に見るホテル型Jリートの今後

苦境に耐え忍ぶホテル型Jリートの一つ、インヴィンシブル投資法人(8963)から2020年6月期の資産運用報告が届いたのです。
2020年1月から6月、まさに新型コロナウイルスに翻弄された最悪の決算期です。その内容から今後を占ってみたいと思います。
決算数値から見る苦境ぶり
当半期における営業収益は前半期に比べ、およそ半減状態。経常利益は116億円から4億円と超減益となりました。
前年同期比と比べると営業収益は約3分の1にまで減少しています。1口あたりの分配金は前期の1,725円から69円にまで減らされました。
分配金利回りは・・・。もはや計算したくもありません。でも念のため、0.45%・・・。
値動きは以下のような感じとなっています。
●インヴィンシブル投資法人

ちなみに東証リート指数の動きは以下です。
●東証リート指数

東証リート指数の戻りも鈍いですが、それとも比べ物になりません。悲惨の一言に尽きます。
今後に対する会社の見方は
Go Toトラベルとやらの影響か、最悪期は脱したというのが会社の見方です。最悪だったのは2020年5月。国内のホテル稼働率はわずか25%にまで落ち込みました(前年同期は86%)。
それでも5月を底にして少しずつ持ち直してきています。確定数値では2020年7月には40%にまで戻してきました。まだまだ通常の半分程度ですが、緊急事態宣言発動時よりはかなり好転していると考えて良さそうです。
会社の予想(願望も含んでいると思われる)では10月には50%にまで戻ると予想しています。
しかし、これからの秋から冬にかけて再び、コロナ患者が増えることも想定しておかねばならず、予断を許しません。
インヴィンシブル投資法人の救い
インヴィンシブル投資法人にとって救いとなっているのは、ポートフォリオの中に住居がかなりの比率を占めていることです。
総物件数148のうち、60物件は住居であり、これが収益を下支えしています。運用報告の冒頭あいさつにおいても以下のようなことが書かれています。
・住居ポートフォリオが投資法人の収益の下支えとなったこと
・住居資産からの安定収益の存在により、財務面での問題も生じていないこと
・住居資産からの安定収益の存在により、財務面での問題も生じていないこと
逆に言えば、ホテルだけだったとしたら・・・、ぞっとします。
不動産鑑定評価は適正か
それにしてもここまで不動産市場が激変した中で、保有不動産の鑑定評価額合計は4.8%の減少に留まっています。
いささか不思議な感もあります。今、保有しているホテルを売り出したら、4.8%の値下がりで済むとはとても思えません。
素人考えでも下駄はいているとしか思えません。どのみち、今売りに出しても買う人いないと思いますので、ある種どうでもいいっていえばそれまでですが・・・。
感想
とにかく今は厳しい。しかし、なんとか生き残りを図ってもらわなければなりません。
そうそうたる銀行が借入先に並んでいますし、住居資産もありますので、銀行に見捨てられることはないと信じたいものです。まだまだ内部留保も120億円以上あります。
とにかく今秋から来春までなんとか耐え忍んでもらいたい。そうすればコロナ騒動も沈静化に向かっていくでしょう。
今は我慢を決め込むしかなさそうです。
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