売れない商品は仕入れない。銀行にも世間の常識がようやく・・・

緊縮財政という悪政に消費増税。そのおかげで、企業の設備投資意欲は減退したまま・・・。そして、コロナ禍の強烈な追い討ち。こんな状況で工場建てたり、新たに店を出したりする企業があるわけがありません。
ましてや資金を借りてなぞというのは考えられない愚行です。今はなんとか生き延びるのに必死というのが多くの企業そして庶民の実態です。
よって、資金需要といっても運転資金止まりというのが実状なのです。
菅政権と地方銀行
菅政権が発足し、少しずつその政策も見えてまいりました。その中の一つが地方銀行の再編です。
異次元金融緩和による超低金利政策により銀行の利ザヤは縮小。そして、何よりも深刻なのは超低金利にもかかわらず、お金を借りる企業や個人が極端に少ないことです。
それは上述のとおり、こんな時期に設備投資をしようという経営者はまずいないからにほかなりません。
地方銀行の預貸率は70%前後と低迷し、預金でお金を仕入れても、貸し出す先はごくわずか・・・。
以下はデフレ突入後の金融機関業態別の預貸率の推移です。

(出所:中小企業庁)
どの業態も右肩下がり傾向であることがわかります。
メガバンクの比率が低くなっているのは、預金が集中して集まったことが理由だと推察します。信用金庫、信用組合の低迷は中小企業の苦境をそのまま表しているといっていいでしょう。
その中で、地方銀行は案外健闘していましたが、ここに来て厳しい経営環境にいよいよ突入したと考えることができます。
預金と貸金の関係
銀行が預金ばかり集めて、貸出金が伸びないということは小売店でいえば、商品をたくさん仕入れすぎて売れ残ってしまっている状態です。
それでも今までの銀行はボーナスキャンペーンやら退職金優遇金利などといって預金をかき集めてきました。護送船団方式でひたすら規模の論理を追い求めるという特徴は今だに変わっていないと考えられます。
それでも、余計に集めて余ったお金は有価証券運用に回せばそれなりに儲かったからそれでもよかったのですが・・・。
地方銀行の収益力の衰え
しかし、資金運用の環境は大きく変化してしまいました。国内債券で運用しても利回りが得られないし、かといって外国の債券も利回りは日本同様低くなっています。
Jリートも逆風が吹いていますし、株ばかり買ってはリスクが巨大化して耐えられません。
2012年度には1兆4千億円程度だった地方銀行の業務純益は、2019年度には1兆円を割り込んでいます。銀行の収益獲得能力は少しずつ、しかし着実に衰えています。
経営環境の変化に耐えかねて・・・
いよいよ困った銀行は預金商品を減らすなど、預金を積極的に集めるという動きをやめつつあります。
キャンペーン金利などで余計に金利を払えば収益悪化を招いて体力を消耗してしまうからです。
銀行もいよいよ普通の商売同様、必要な分だけ仕入れるという考え方が浸透してきています。銀行が平和裡に経営できた時代はとうに過ぎ去りました。
今までは誰が経営してもほとんど変わり映えしなかった銀行ですが、今後は”誰”がトップになるかによって、その銀行の命運が左右されるといっても過言ではないでしょう。
銀行の敵は銀行にあらず
銀行の垣根は低くなり、IT企業が次々と銀行の牙城を切り崩しにかかっています。
そして、地方銀行の合従連衡はもはや避けられない必然となりました。なぜならそれはもはや国策となったからです。
「国策は買い」という言葉もあります。
勝ち残ることができる地方銀行は今が仕込み場であるとも考えられるのです。
投資は自己責任で~。
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