意外なことにイノベーションは国家が牽引する

イノベーションという言葉を聞けば、ベンチャー企業が連想されるのではないでしょうか。
あるいは少なくとも活力ある民間企業の独壇場というイメージが湧いてきます。しかし、意外なほどにイノベーションを支えるのは国家だということは知られていません。
民間では耐えられない研究投資額
画期的なイノベーションは宝くじのようなものです。やってみたら、結果的にすごいことになったというのがイノベーションの実態です。
より希少性の高いイノベーションほど、生まれる可能性は低く、逆に言えば失敗する可能性が高まります。例えば画期的な新薬の開発です。
薬の開発には膨大な資金と歳月がかかります。一説では、数百億円単位の資金が必要であり、10数年の時間がかかると言われています。しかし、成功する確率はわずか0.01%というのが現実なのです。
ほとんど空振りというような世界に小さなベンチャー企業が参入してきても、その多くが淘汰されてしまうのが関の山です。だからこそ、画期的な新薬は巨大資本の製薬会社から生まれるというのがほとんどです。
巨額の研究開発投資を行えるのは・・・
資金効率や利益を追い求めることなく、巨大資本を長きにわたって動かせる組織は・・・?
国家です。
一般的なイメージとして、国家がイノベーションを起こすなどということは考えにくいのですが、実態としては国家主導でイノベーションが起こる可能性は非常に高い。
とりわけ軍事技術開発でその傾向は顕著です。
過去の実績が物語る
一番わかりやすいの例はインターネットでしょう。インターネットはもともと軍事技術を元としています。
せっかくすばらしいコンピューターネットワークを作っても、それが中央集権型のシステムだと、中央が狙われ、破壊されてしまえば、全てが機能しなくなります。
そこで、クモの巣のようにネットワークを張り巡らせて、一部が破壊されても、他のルートで情報が伝達できるようにしたのがインターネットであることは周知の事実です。
そして、このインターネットが基盤となって、GAFAに象徴されるIT企業が誕生しました。
イノベーションのきっかけはまさに国家だったのです。国家の科学技術開発、軍事技術開発こそが、時代を変えるイノベーションのきっかけである場合がほとんどなのです。
日本が衰退している理由がわかる
イノベーションの基礎を創り出すのが国家だとしたら、その科学技術予算、軍事予算の多寡がイノベーションの源だと考えることができるでしょう。
近年、日本では先端技術で世界から遅れをとることが多くなりました。その理由はもはや明らかです。国家がその源泉となる科学技術予算を絞っているからにほかなりません。
以下は世界の科学技術の研究開発費の推移です。

(出所:「新世紀のビッグブラザーへ」三橋貴明氏ブログ)
日本の研究開発費は横ばいから下降気味となっています。中国の伸びが著しい。続いて、アメリカ、ヨーロッパと続いています。
このグラフだけ見ても、今後、日本からイノベーションが生まれる可能性が低いことがわかります。世界の先端技術からもますます取り残されることになるでしょう。
菅政権も安倍政権の路線を踏襲するとのことであり、それは緊縮財政を続けると捉えれば財政拡大路線への切り替えはあまり期待できません。しかし、菅首相の君子豹変に一縷の希望を託すばかりです。
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