コンビニ、成長神話は完全に終了。復活の狼煙はあれしかない

コンビニエンスストアがオワコン化してきました。成長神話は崩れ、このままでは縮小均衡への道を辿ることになりそうです。
2020年前半の大手コンビニ(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)本部の利益は前年同期で約25%の減少となりました。コンビニの不振にはいくつかの複合的な原因が考えられます。
新型コロナウイルスによる影響
まずはなんといっても新型コロナウイルスの影響です。来店客数が明らかに減る一方で、客単価は上昇しています。しかし、来店客の減少を補うほどに客単価が上がっているわけではないため、結局のところ売上は減少しています。
テレワークを継続している会社も多く、コンビニで昼食を買うというニーズが減少しました。
売上は大手コンビニで約1割ほどの減少となっています。
その中でも比較的健闘しているのはセブンイレブン。ファミリーマート、ローソンが日販で5万円ほどの減少となっているのに対し、セブンイレブンは2万円程度に収めています。
セブンイレブンはコロナ禍での生活変化に対応し、冷凍食品に力を入れるなど、変化への対応力が優れていることがわかります。
24時間営業という常識が覆りつつある
人手不足から継続が困難となっていた24時間営業が法律上も問題となってしまったことも響いています。公正取引委員会は2020年9月、24時間営業を本部が強制することは独占禁止法に抵触するという見解を示しました。
慢性的な人手不足に悩まされていたコンビニオーナーにとっては朗報ではあります。雇用する側である以上、残業規制などの適用がなく、1年中ほとんど休みなく働かなくてはなりません。
顧客も24時間営業をそれほど望んでいないのです。

(出所:社会実情データ図録)
24時間営業を続けたいのはFC本部だけというのが実態だったのです。加盟店にとって深夜営業が赤字でも、粗利から一定の利益を吸い上げるFC本部には関係のないことだからです。
加盟店は本部に利益を吸い上げられるという搾取ビジネスの典型的被害者といっても言い過ぎではないでしょう。
政府の愚策も逆風に
来店客数の減少はコロナ騒動の影響のみだけではありません。
2020年7月からレジ袋の有料化が義務とされたのはご存じのとおり。何度も何度もコンビニに寄るとレジ袋代がその都度かかるので馬鹿らしい。
なるべく一度にいろいろと買ってしまって、無駄な出費を抑えたいという動機が働くのは当然のことです。コンビニではたくさんの買い物をしませんから、購入金額に占めるレジ袋代比率が高くなるからそれを嫌がる人が出ているのです。
ミニストップが弱者なりの新戦略
大手コンビニはいわば巨艦であるがゆえに、戦略の変更をするのに時間がかかります。その点、存在感の薄いイオン系のミニストップは大胆な戦略変更に打って出ることができました。
FC本部が加盟店から受け取っている経営指導料を廃止し、人件費などのコストを本部と加盟店が共同で負担し、利益を分け合うという仕組みです。
これまでの仕組みは、加盟店の利益とは関係なく、FC本部がお金を吸い上げていましたが、本部と加盟店が運命共同体であることを明確に打ち出したといえます。
この仕組みを大手3社が導入するのは極めて困難でしょう。あまりにも業績に与える影響が大きすぎます。各種のシミュレーションにより、少なくとも現状の利益水準を維持できなければ実行に移せないはずです。
ミニストップは弱者という立場を利用して、業界のルールを塗り替えようとしています。失うものが少ないので思い切った行動がとれたのです。
コンビニ復活への道
コンビニ業界は今後、売上、利益ともに落ち込むことが予想されます。さらに、人手不足による過酷な営業はコンビニオーナーになろうという人に二の足を踏ませることになります。
いかにコンビニが人手不足に悩まされているかは、外国人労働者の比率からもわかります。

(出所:社会実情データ図録)
コンビニ店員の10人に1人は外国人という姿が浮かび上がります。この状況は首都圏で顕著に現れています。
コンビニ復活への道。それはずばり無人化に尽きると思います。
日本でも実験店舗で一部営業を始めています。中国が先行していましたが、うまくいっているとは言い難く、その失敗には学ぶ必要がありそうですが。
10年後のコンビニは今とは様変わりしている可能性があります。
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