不動産投資信託(Jリート)の仕組みと投資の視点【まとめ】

ビル






コロナ騒動で、いったん暴落したJリートも落ち着きを取り戻しつつあります。無論、コロナ騒動前というわけにはいきませんが。

しかし、ここに来て(2020年10月)、Jリートに割安感が出ていることから、海外投資家を中心に買いも入ってきています。

年単位での長期投資を考えればJリートも投資対象として十分に魅力があります。ここでは不動産投資信託(リート)の仕組みや特徴、投資の際の判断ポイントなどをまとめておきます。



歴史と仕組み


日本において不動産投資信託は、2000年の投信法改正により設立可能となりました。

投資信託には、「契約型」「会社型」があります。

日本における不動産投資信託は、「会社型」が主流です。(不動産投信に投資する投資信託(ファンド・オブ・ファンズ)は除きます。)

会社型不動産投資信託では、資産運用を目的とする投資法人を設立し、投資法人が発行する投資口を投資家に販売します。集めた資金の運用は投資法人から運用を委託された投資信託委託業者が行うこととなります。

また、不動産投信はその資産の運用により、「特化型」「分散型(総合型・複合型)」に区分されます。

特化型では、特定の用途の不動産をメインに運用することとなります。たとえば、オフィスビルへの特化型、ホテルへの特化型、ショッピングモールへの特化型、居住用不動産への特化型等があります。

一方、分散型では運用対象を特定せず、さまざまな用途の不動産を組み合わせて運用します。

投資法人の設立


投資法人を設立するには設立企画人が規約を作成しなければなりません。規約とは会社の定款にあたるもので次のような事項が記載されることになります。

・決算期
・目的、商号、発行する投資口の総口数
・設立時に発行する投資口の発行価額および口数
・資産運用の対象および方針
・金銭の分配の方針
・運用会社への報酬
・一般事務受託者、投資信託委託業者、資産保管会社

設立にあたっては規約等の必要書類を金融庁に提出して届出をしなければなりません。届出が受理されると規約が有効となります。その後、設立の登記を経て、投資法人が成立することとなります。

投資法人は株式会社の株式に相当する投資口を発行します。投資家は投資口の金額を限度とする有限責任を負うこととなります。

資産保管会社とは


不動産投資法人には法人格が与えられ、役員会は置かれますが使用人の雇用はできず、自ら業務を行うことができません。この方式は「外部運用型」といわれており、日本のJリートはこの形態をとっています。

よって、投資判断はもとより、取得した不動産の保管についても他者に委託する必要があります。ちなみにアメリカでは、リート自らが従業員を抱え、物件の売買や管理を行う「内部運用型」の形態を採用しています。

投資法人の委託を受けて資産の保管業務を行う法人を資産保管会社といいます。

通常は信託銀行が資産保管会社となります。具体的な資産保管業務の内容は、不動産の権利書等の保管などとなります。

投資家の資産保護のため、資産保管会社は、投資法人の資産と自己の資産とを分別管理しなければなりません。

一般事務受託者とは


不動産投資法人は、その資産の運用に関しては投資信託委託業者に委託します。

また、資産の保管に関する業務は資産保管会社に委託します。そして、その他の業務に関しては一般事務受託者に委託することとなります。

一般事務受託者が受託する主な業務には以下のようなものがあります。

・発行する投資口の募集に関する事務
・発行する投資口の名義書換に関する事務
・不動産投資法人の運営に関する事務
・不動産投資法人の計算に関する事務
・金銭の分配または払戻に関する事務
・会計帳簿の作成に関する事務
・納税に関する事務

これらの業務は投資信託委託業者や資産保管会社に重ねて委託することも可能です。

分配金の原資


不動産投資法人は、資金を運用して得た利益を投資家に分配します。そして、分配金の原資となるものが2種類あります。

一つは、利益の分配にあたるもので、不動産から得られる賃貸料や売却益から費用を引いた部分をいいます。

もう一つは利益を超えた額の分配です。不動産投資法人は上記の利益に加え、不動産の減価償却費を原資として分配することが可能となっています。

しかしながら、減価償却費の全てを分配してしまいますと、不動産に対する将来の修繕費や維持費を捻出できなくなってしまう恐れがあることから、減価償却費相当額の60%までが分配可能となっています。

長期的に安定的な分配をするために減価償却費を活用して分配金の額を調整しているケースが多いようです。

なお、不動産投資法人は利益の90%超を分配することで、その利益は損金とされ、法人税が課されないこととなっています。

投資家にとって、株式の配当金は法人税を取られた後にさらに所得税が課されるといった二重課税が発生してしまいますが、不動産投資法人ではそのようなことが起こらないようになっています。

二重課税が発生しないことから当然、株式の配当金と違い、配当控除の制度を利用することはできません。

コストとリスク


不動産投信は、証券会社を介して証券取引所で買う必要があります。その際に証券会社に買付にかかる手数料を支払う必要があります。

また、不動産投信を保有することで得られる分配金には税金がかかります。また売却益にも税金がかかります。税金の取扱いは上場株式とほぼ同じです。

そして、運用会社、資産保管会社、一般事務会社等への委託報酬、投資法人の維持・運営費用も発生します。

不動産投資信託の主なリスクは以下のとおりです。

・不動産特有のリスク
賃貸料の変動リスク、空室率の変動リスク、災害リスク、物件の劣化リスク、物件の流動性リスクなどがあります。

・有価証券としてのリスク
証券取引所での流動性リスク、価格変動リスクなどがあります。

・運用に関するリスク
借入金の金利変動リスクなどがあります。借入金の比率が高い銘柄は金利の変動に収益が大きく左右されます。


資産の評価


不動産投信が保有する不動産、土地の賃借権、地上権等の評価をする場合、以下の方法があります。

(1) 不動産鑑定士の評価にもとづくもの
(2) 近隣の類似物件の取引事例にもとづくもの
(3) 収益還元法による計算にもとづくもの
(4) 同じ物件を再度調達した場合に想定される額を減価修正したもの
(5) 上記(1)から(4)を組み合わせたもの

不動産投資信託では、約款または規約において、上記(1)から(5)の中から適当と考えられる方法を定めるものとされています。

近年においては、(3)の収益還元法による評価が重視されているようです。

投資主総会


不動産投資法人の最高意思決定機関は投資主総会です。株式会社における株主総会のようなものです。株主総会との大きな違いはその開催頻度です。

株主総会は毎決算期ごとに行う必要がありますが、不動産投資法人の場合は少なくとも2年に1回、投資主総会を行う必要があります。役員の任期が2年であり、役員の選任は投資主総会によらねばならないためです。

投資主総会での専決事項には以下のようなものがあります。

ア.投資法人規約の変更
イ.合併契約書の承認
ウ.投資法人の解散
エ.役員、会計監査人の選任
オ.運用会社との委託契約の締結または解約の承認

などです。上記のア~ウのような重要な事項については、発行済投資口総数の過半数の投資主が出席し、2/3以上の議決権をもって決議されます(特別決議)。

投資主の権利


不動産投資法人の投資主の持ちうる権利として、経済的な利益を受ける権利経営・支配に関する権利があります。

経済的な利益を受ける権利として、投資主は保有する投資口数に応じて金銭の分配を受ける権利があります。また、不動産投資法人が解散して清算される場合、投資主は投資口数に応じて残余財産の分配を受ける権利があります。

経営・支配に関する権利としては、投資主は投資口数に応じた議決権を投資主総会で行使することができます。また、会計帳簿や書類の閲覧、謄写をすることができる帳簿閲覧権があります。

その他、主な権利として、役員の違法行為差止請求権、新投資口発行無効訴権などがあります。

投資尺度


不動産投資信託の投資にあたっても、株式投資同様さまざまな投資尺度があります。そして、それは株式とは若干異なっています。ここでは、不動産投資信託への投資を行う上で参考となる指標のうち、代表的な指標について紹介してみます。

・NAV倍率
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といいます。さらに、投資口価格を、投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率といいます。株式投資におけるPBRの概念に近いものです。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができます。

・分配金利回り
1口あたりの年間の予想分配金を投資口価格で割って算出します。株式投資における配当利回りの考え方と同様です。

・LTV(Loan To Value)
総資産に占める有利子負債の比率を表します(有利子負債/総資産)。LTVが高いほど高いレバレッジをかけていることで金利変動の影響を受けやすくなります。


不動産種類ごとの特徴


【オフィスビル】
・景気の影響を受けやすい。
・テナントが抜けることも多く収益の安定性に欠ける。

【住居(レジデンス)】
・景気の影響を受けにくい。
・入居率が100%となることはまず無いが入居者の分散度が大きいため、収益の安定性が高い。

【商業施設(ショッピングモール)】
・景気の影響を受けやすい。
・住居のように簡単に入居者が見つからないので入居テナントの撤退リスクが大きい。

【物流施設】
景気の変動を受けにくい。
・安定性が高いが、商業施設同様、テナントの撤去のリスクが大きい。

【ホテル】
・景気の影響を受けやすい。
・季節の変化や自然災害等により需給バランスが左右される。

投資は自己責任で~!


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