世界に見捨てられた、本来あるべき「チベット」という国家

武力による国境の変更、いわゆる侵略は近代世界において禁止されているのは明白です。しかし、実際にはそれは守られてきたとはいえません。
とりわけ、第二次大戦後に武力によって領土を不法に拡大した代表的な国が中国です。そして、侵略した国家の弾圧、自国との同化政策は今現在もなお行われています。
あれほど世界を崩壊させた第二次大戦後も力による現状変更をすることは明らかに国際社会に対する挑戦、挑発であり許されるわけがありません。
チベットという独立国家
1950年までチベットは完全なる独立国家でした。
しかし、1950年10月に中国共産党軍がチベットに侵攻し、武力に劣るチベットをあっという間に占領してしまいました。
それ以来、今日もチベットは中国共産党に支配されています。
下図が本来あるべき中国の地図なのです。

中国のチベット侵攻による弾圧
中国の侵攻以前、チベットの人口は約600万人ほどであったと推測されています。そして、中国に占領された後、多くのチベット人が粛清されてしまいました。
その数は正確にはわかりませんが、100万人は下らないと考えられています。
中国に対する無言かつ悲しい抵抗
チベットはいまや中国の同化政策により、その存在すら知られなくなってきています。そんな事態を懸念するととも、中国に対する批判を悲しい方法で体現する人が後を絶ちません。
抵抗のための焼身自殺です。自らの凄惨な死をもって、世界の目をチベットに向けようというのです。チベット人は焼身自殺とは呼ばず、「焼身抗議」と呼んでいるそうです。チベットの人々はそこまで追い込まれてしまいました。
2008年に起きた反中国の大規模デモ以降、焼身抗議は増加し、少なくとも130人以上が亡くなっています。
なぜ世界はチベットを見捨てたのか
それにしても武力による現状変更は、許されざる行為です。それがなぜ放置され、中国の思いのままにチベットは蹂躙されたのでしょうか。
さまざまな要因があるのでしょうが、最大の要因は朝鮮戦争の勃発(1950年6月)です。
世界(主にアメリカ)は朝鮮戦争に全精力をつぎ込まなければいけませんでした。チベットには救いの手を差し伸べられなかったのです。いうなればどさくさ紛れの火事場泥棒といえるでしょう。
チベットは結局、世界から見放されてしまいました。
チベット政府はいまなお生きている
占領され、弾圧されているとはいえ、チベット国は死んではいません。今なお復活を遂げるべく生き続けています。
現在はインドにチベット亡命政府が存在しています。そしてチベット亡命政府の指導者が有名な「ダライ・ラマ14世」です。
いつか、この米中冷戦に大きな動きが起きたとき、チベットは再び中国からの弾圧から解き放たれ、独立を果たすときがくる可能性は十分なのです。そしてそれは歴史的正統性を持つものであることは間違いありません。
なお、中国の侵略、弾圧はチベットだけではありません。それについては日を改めてご紹介しましょう。
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