忘れ去られたデジタル遺産。エンディングノートの必要性

金融取引はもはやインターネットで行うものであるというのが、現代の常識になりつつあります。
手数料も安く、場所も時間も制約なしです。メリットばかりが目立ちますが、その一方でネット特有の落とし穴も潜んでいます。
突然亡くなった場合に、遺族がその存在に気が付かず、忘れ去られてしまうリスクです。このリスクは今後どんどんと高まっていくと思われます。
ネットでの金融取引の実態
今やインターネットは若者のためだけのものではありません。1990年代後半から始まったインタ―ネット革命も、はや20年以上経過しました。当時30歳、40歳代だった人ももはや50歳、60歳代です。
人生100年時代など言いますが現実には男性の場合、4人に1人は75歳までに死にます。100歳まで生きる人などごくごく稀なケースでしょう。
日本証券業協会の調査によれば、証券取引口座の4割強が60歳以上であるということです。60歳以上となれば、心筋梗塞や脳卒中など突然の病に倒れるリスクが高く、それなりの覚悟をしておかねばなりません。
しかし、「まさか自分が」という思いが突然への準備を怠らせます。そしてそれはネット取引固有の大きな危険をはらみます。
ネット取引特有のリスク
ネットで金融取引をしている人が突然亡くなったら?
ネット証券などは取引報告書や残高報告書などはすべてPDFで電子交付されるのが普通であり、自分が言わなければ、家族がネット証券で取引していることを知るすべはほぼないと言っていいでしょう。
そして、相続財産から忘れ去られ、闇に消えた資産と化してしまう可能性が大なのです。
顧客が突然亡くなっても、金融機関側では知る由もありませんから、遺族が知らせてくれなければそのまま放置されるのは当たり前です。
とりわけ注意が必要な取引
資産が目減りする可能性がある金融商品には注意が必要なのはいうまでもありません。株式などが典型的です。
なかでも気をつけるべき取引は、お金や株式を証券会社から借りて行う信用取引や、外国為替証拠金取引(FX)、暗号資産の取引など、レバレッジがかかっている取引です。
亡くなったのに放置されていて知らぬ間に損失がかさみ、借金だけが残るといった事態にもなりかねません。
皮肉なことに、そのような事態になれば金融機関は契約者が亡くなっていることに気が付き、借金の負担を相続人に求めてくるはずです。借金を相続財産として遺族に残すという悲しい事態が起きかねません。
忘れ去られるリスクを回避する方法
ではどうすればいいのでしょうか?
具体的には以下のような手順で、自分に万一のことがあったときに、遺族がネットでの金融取引の存在をすぐに知ることができるように準備しておく必要があります。
1. ネットでの金融取引のすべてをリストアップする。後々の混乱を避けるため、不要な口座は解約しておく。
2.万一のときに遺族が故人の金融取引を把握できるようにエンディングノートを残しておく。争族が発生することが予想されるなら、遺言を残しておく。
2.万一のときに遺族が故人の金融取引を把握できるようにエンディングノートを残しておく。争族が発生することが予想されるなら、遺言を残しておく。
ちょっと面倒ではありますが、いったん作ってしまえば、後は必要なときにメンテナンスをするだけです。
あとは家族が必ず見つけ出す場所に保管しておく、できればその存在を知らしめておいたほうがよいでしょう。
最後に
それにしても、今後、ネット取引のデジタル遺産は社会問題化するのではないかと予想します。取引金融機関が多ければ、残された遺族はとんでもない負担を強いられることになるでしょう。
また子供がいない老々夫婦などは、残された配偶者が金融取引について、まったく疎いとか、認知能力が衰えているといったことも考えられます。
開かずの金庫とならないよう、若くてもエンディングノートは作成して保管しておくのが家族のためだと思います。
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