先制核攻撃を宣言した中国軍人。そして核の傘がないことがばれる

今から15年も前の2005年7月14日、中国人民解放軍の朱成虎(しゅせいこ)少将は香港で外国報道陣を前にとんでもない発言をしました。
そして、そのトンデモ発言を受けたアメリカの発言も驚くものであったのです。そして核の傘などというものがこの世にないことが白日の下にさらされたのでした。
朱成虎少将の驚くべき発言
朱成虎少将は外国の報道陣を前にして、中国が台湾と武力紛争した場合、アメリカが軍事介入するならば、中国はアメリカに対して核兵器を先制使用することを辞さないと発言したのです。
それまで、核保有国同士の関係にあっては核兵器はあくまで報復兵器であり、先制使用すると宣言することなどは耳を疑う発言でした。
そしてなんと朱成虎少将は個人的見解ながら、アメリカの数百の都市と引き換えに、西安より東の都市すべてが壊滅することも厭わないと述べたのです。
また、世界は人口爆発の問題に直面しており、核戦争こそ人口問題を解決するもっとも有効で速い方法だと、核戦争を礼賛したというのですから報道陣もさぞかしびっくりしたことでしょう。
2005年3月、中国は台湾への武力侵攻を選択肢として肯定する反国家分裂法を制定しており、それを受けての発言であろうと推察されます。
アメリカの抗議にもまた驚かされる
当事者に挙げられたアメリカ側も黙っているわけにはいきません。
朱成虎少将の発言の翌日、国務省のシーン・マコーミック報道官が朱成虎少将の発言は大変無責任であり、中国政府がそのような政策を支持しないことを希望すると抗議しました。
しかし、アメリカ側は中国が核ミサイルの先制攻撃を行うのならば、アメリカもそれ以上の核ミサイルで報復するとは言いませんでした。
核保有国同士であれば当然なされる発言だと思うのですが・・・。
アメリカの真意
アメリカもしたたかな国です。アメリカは台湾のために核戦争をする気など毛頭ないのです。なぜ台湾を守るためにアメリカ人が数千万人も死ななければならないのか。
その問いに対する答えが暗黙のうちに示されたといえる事案でした。
アメリカ大統領が、トランプ大統領からバイデン大統領へと変われば台湾のリスクは高まるはずです。そして、中国にとっては待ちに待ったチャンス到来なのかもしれません。
フランスと平和ボケ日本との違い
フランスのシャルル・ドゴール大統領は早くからアメリカの核の傘に疑念を抱いていました。
ドゴール大統領はアメリカのNATO総司令官に対し、どのような場合にアメリカはフランスに対する核攻撃に対し、ソ連に報復するのか問い詰めたといいます。
NATO総司令官はその質問にまともに答えることができませんでした。はなからそのつもりはなかったからにほかなりません。
ここからがフランス人が平和ボケの日本人とは違うところです。フランスは自前で核実験に成功し、核兵器を保有する国となったのです。アメリカはいざというときには救ってくれない。それを早くから見抜いていたからこその核開発であったことは疑いようもありません。
(参考)

(出所:社会実情データ図録)
最後に
核の傘の欺瞞は当然、台湾のみならず日本にも当てはまります。核の傘に守られているというのは幻想なのです。
日本人のためになぜアメリカの若者が戦わなければならないのか?なぜ、アメリカ人が中国の核攻撃のリスクにさらされなければならないのか?
逆の立場になればわかるはずです。いくら日本と台湾が友好関係にあっても、台湾が中国の圧倒的軍事力で侵攻されたとき、日本の自衛隊が台湾を助けるでしょうか。
台湾を助ける国には核ミサイルを打ち込むと宣言されても?
結局のところ、自国は自国で守るしかない。
そのためには敵対国とは常に軍事力を均衡させておくべきなのは言うまでもありません。
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