菅政権の経済政策は重大な危険性を抱えている

菅政権の経済ブレーンの一人として、デービッド・アトキンソン氏が重用されているのは有名な話です。
菅首相とも懇意のようで、インバウンド需要を取り込む観光立国化もアトキンソン氏の案が元となっているといわれています。(確かにその手の本を出しています。)
そして、アトキンソン氏が主張する政策の一つに中小企業の再編が挙げられます。日本の中小企業は多すぎる、合併を進めて生産性を上げるべきだといった主張です。
これまでも何人かの経済評論家などがアトキンソン氏の批判を繰り返しておりましたが、その批判は感情的ともいえるものが多く、果たしてどちらが正しいのか今一つモヤモヤとしていました。
しかし、ある動画を見てアトキンソン氏の主張は決定的に間違っていると確信することができました。元財務省で経済学者の本田悦朗さんの講義動画です。
そこでは、現状の日本が抱える経済的問題をマクロ経済学の観点から考察するとともに、アトキンソン氏の主張がいかに間違っているかがわかりやすく説明されていました。そのポイントをまとめておきます。
日本経済の現状について
・構造改革ではデフレ脱却はできない
菅政権では構造改革が語られている。将来、経済が立ち直ったときにどのような改革を進めていくべきか予め考えておくことは良いが、構造改革とデフレとは関係がなく、構造改革でデフレからの脱却はできない。
・コロナ対策が一番重要。そのための公費投入は惜しまない
今はとにかくコロナ対策に重点を置くべきであり、そのための財政支出を惜しんではならない。財政拡大は問題を起こさないし、現に90兆円新規国債を発行したが、インフレも何も起こっていない。
・価格破壊企業への批判は的外れ
価格破壊を起こす企業は批判されがちだが、可処分所得が増えるだけであり、マクロの消費とは関係がない。
菅政権では構造改革が語られている。将来、経済が立ち直ったときにどのような改革を進めていくべきか予め考えておくことは良いが、構造改革とデフレとは関係がなく、構造改革でデフレからの脱却はできない。
・コロナ対策が一番重要。そのための公費投入は惜しまない
今はとにかくコロナ対策に重点を置くべきであり、そのための財政支出を惜しんではならない。財政拡大は問題を起こさないし、現に90兆円新規国債を発行したが、インフレも何も起こっていない。
・価格破壊企業への批判は的外れ
価格破壊を起こす企業は批判されがちだが、可処分所得が増えるだけであり、マクロの消費とは関係がない。
日本の金融・財政政策について
・金利が下限状態ではクラウドファンディングアウトは起きず、今は流動性の罠に陥っている。そのため金融政策は意味がない
金利が高い状態であれば、財政拡大により若干のクラウドファンディングアウトが起こると考えられる。MMTの考え方とは少し違う。しかし、現状のように金利が下限に張り付いている場合はクラウディングアウトは起こらない。日本は今、いくら金利を下げても需要が伸びない流動性の罠に陥っており、財政拡大しなければ成長軌道に乗らない。
・「財政ファイナンス」などという言葉はそもそもない
財政拡大をするとすぐに財政ファイナンスなどという批判が出てくるがそもそも国際的に財政ファイナンスなどという言葉も概念もない。
金利が高い状態であれば、財政拡大により若干のクラウドファンディングアウトが起こると考えられる。MMTの考え方とは少し違う。しかし、現状のように金利が下限に張り付いている場合はクラウディングアウトは起こらない。日本は今、いくら金利を下げても需要が伸びない流動性の罠に陥っており、財政拡大しなければ成長軌道に乗らない。
・「財政ファイナンス」などという言葉はそもそもない
財政拡大をするとすぐに財政ファイナンスなどという批判が出てくるがそもそも国際的に財政ファイナンスなどという言葉も概念もない。
日本の労働生産性について
・国際競争力が世界何位などかということは意味がない
日本は国際競争力が下がったなどと言われるが、国際競争力という概念は曖昧である。そもそも競争するのは企業であり、国ではない。日本の技術進歩が遅れているという見方も誤りである。
・日本の労働生産性が低いのは単にデフレだからである
労働生産性は需要によって決まる側面が大きいが、多くの経済学者は供給によって決まると誤解している。労働生産性を比較するには完全雇用の下での生産性を計算する必要があるが、その計算に成功している事例に当たったことはない。そもそもそのようなことは難しい。日本の労働生産性が低いことは単にデフレであることを示しているにすぎない。
・創造的破壊の嘘
不況は非効率な企業を淘汰するために必要という「創造的破壊」という考え方があるが、実際には純資産を多く持つ企業が生き残り、少ない企業が淘汰されるだけであり、生産性とは関係がない。
日本は国際競争力が下がったなどと言われるが、国際競争力という概念は曖昧である。そもそも競争するのは企業であり、国ではない。日本の技術進歩が遅れているという見方も誤りである。
・日本の労働生産性が低いのは単にデフレだからである
労働生産性は需要によって決まる側面が大きいが、多くの経済学者は供給によって決まると誤解している。労働生産性を比較するには完全雇用の下での生産性を計算する必要があるが、その計算に成功している事例に当たったことはない。そもそもそのようなことは難しい。日本の労働生産性が低いことは単にデフレであることを示しているにすぎない。
・創造的破壊の嘘
不況は非効率な企業を淘汰するために必要という「創造的破壊」という考え方があるが、実際には純資産を多く持つ企業が生き残り、少ない企業が淘汰されるだけであり、生産性とは関係がない。
アトキンソン氏の考え方について
・アトキンソン氏は日本の経営者を奇跡的に無能などとボロクソに言うがそんなことはない。単にデフレのせいであり、その責任は日銀と財務省にある。その責任を経営者に押し付けているにすぎない。
・アトキンソン氏は人口減小を需要減少の要因としているが、それが正しければ日本はずっとデフレから脱却できないことになる。しかしながら、需要の減少と人口減小との相関はほとんどない。
・アトキンソン氏は需要の減少に合わせて、供給も減らせという。そんなことをしたら実質GDPが減少し、失業者であふれかえることになる。供給を減らすのではなく需要を創り出す必要がある。アトキンソン氏はマクロ経済学がわかっていないのではないか。中小企業の再編は危険な政策であり、実行すれば必ず失敗する。
・アトキンソン氏は人口減小を需要減少の要因としているが、それが正しければ日本はずっとデフレから脱却できないことになる。しかしながら、需要の減少と人口減小との相関はほとんどない。
・アトキンソン氏は需要の減少に合わせて、供給も減らせという。そんなことをしたら実質GDPが減少し、失業者であふれかえることになる。供給を減らすのではなく需要を創り出す必要がある。アトキンソン氏はマクロ経済学がわかっていないのではないか。中小企業の再編は危険な政策であり、実行すれば必ず失敗する。
最後に
それにしてもどうも納得できないのは、日本の政策が外国人によって左右されている点です。
小生は経済学者ではないため、的外れな表現、言葉足らずがあるやもしれませんがどうかご勘弁を。それにしてもわかりやすい動画でした。本田さんにはぜひ次期日銀総裁になってもらいたい。
ポイントだけでは語りつくせませんので時間のある方はぜひ。一見の価値があります。
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