日本の優秀な研究者がどんどん中国に逃げていく・・・

中国には「千人計画」なるものがあります。海外から優秀な人材を中国に呼び込もうという中国の国家プロジェクトです。
そして、ターゲットとなる人材にはもちろん日本人も含まれているのです。なにしろ海外での採用拠点が600もあり、そのうち46は日本にあるといいます。
千人計画とは
中国が2008年に策定した、外国の優れた人材を集める国家プロジェクトです。対象は外国人研究者や海外で活躍する中国人研究者となっています。
高額の奨励金の支給をするなど、好待遇で迎えられます。千人計画となっていますが、すでに数千名の人材を呼び込んでいます。
しかし、一方で優秀な人材を囲い込むなどの手法が問題視されています。
虐げられる日本人研究者
日本人研究者、とりわけ若い優秀な研究者が千人計画に誘われ、中国にわたっています。年々増加を続けており、2017年には中国在留の日本人研究者はなんと8,000人におよぶというから驚きです。
しかし、それらの日本人研究者を責めることはできません。なぜなら彼らはあまりに虐げられているからです。
せっかく博士号をとっても、日本では研究ポストが少なく、ポストにつくのは至難の業です。また、日本の科学技術予算が減少しているために、研究費の確保すらままなりません。
ノーベル賞を取った山中教授ですら、研究予算の獲得に苦しんでいるというのは有名な話です。
こんな状態なのに、中国へ行かないでほしいなどといえるわけがありません。研究者は自由に研究ができるなら、そちらを選ぶのは当然のことです。予算を削減する日本政府が悪いとしかいいようがありません。
中国での待遇
さて、千人計画で招聘された研究者の待遇はどうなものなのでしょうか。
ある研究者は専用の研究室を与えられ、さらに資金使途に制限のない資金が5年で5千万円ほど支給されたといいます。
そのぶん、研究成果に対しては厳しい要求がされますが、日本では研究のスタートすらできないのですからよほどマシでしょう。
ある研究者は「日本では科研費をどうやって取るのかで皆が汲々としている。そういう意味ではまるで楽園ですね。面倒なことをやらずに学問に没頭できて本当に幸せです。」などと述べています。
日本の博士号取得者
そもそも日本では研究者自体が減少しています。
以下は主要国の人口100万人当たりの博士号取得者数を表しています。

2008年に比べて減っているのは日本だけです。もともと少なかったのに、さらに減ってしまいました。
以下は日本の博士号取得者数の推移です。

2006年をピークに減り続けています。
ただでさえ少ない研究者がさらに海外に逃げてしまえば、日本の技術力の将来が懸念されるのは当然のことでしょう。
(データ出所:科学技術・学術政策研究所)
最後に
2018年の科学技術予算は中国が28兆円。一方で日本は3.8兆円と著しい差があります。
以下は世界主要国の科学技術予算の推移です。

(出所:「新世紀のビッグブラザーへ」三橋貴明氏)
中国の伸びが凄まじい。一方で日本はぜんぜん伸びていません。というより減っています。
日本政府には科学技術予算の増やしてもらいたい。それはデフレ脱却への一助ともなります。
このままではアジアの技術立国の地位は日本から中国、韓国へとシフトしてしまうのは必然の流れであろうと思います。
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