駆け上がる株価。神風が証券会社の問題を先送りさせる

アメリカ株に引きづられる格好となり、日経平均株価がバブル後の高値を更新中です。
正直こんなに上がるとは思っていませんでしたし、予想していた人はまずいないものと思います。なにせ、消費増税後の新型コロナ騒動。GDPは大幅マイナス間違いなしなのにこの強気相場は何を暗示しているのでしょうか。
苦しむ証券業界にとってのオアシス
この相場は今年前半、まともに対面営業ができなかった証券会社にとっては恵みの雨となりました。
バブル崩壊後もITバブルやアベノミクス相場などの小さな活況により、証券会社はなんとかそ糊口を凌いできました。しかし、小さな活況というオアシスは証券業界の体質改善を妨げてきました。
対面証券はとりわけ顧客層の高齢化が進んでおり、若年層顧客を取り込めていないため既存顧客とともに沈む船のような状態が続いています。
確実に右肩下がりとなりつつも小さい波でなんとか凌いできましたが、いつかは限界にぶち当たります。にもかかわらずビジネスモデルは旧態依然のままというのが実態です。
先細りが確実な預かり資産残高
現在、日本の金融資産の60%以上は高齢者が保有しています。
株式に限れば120兆円ほどを個人投資家が保有していますが、60歳以上の投資家で約90兆円を占めています。そして、1年平均で3兆4千億円が相続の対象となると試算されています。
今後20年で約70兆円が若い世代に受け継がれるというわけです。若年層はネットやスマホで取引するか、株を売却してしまう可能性が高いため、20年後には飯のタネが今の2、3割程度に減ってしまうと考えられます。
預かり資産が減れば収益も減るのは当たり前。
売買委託手数料への依存が少ない大手証券はともかく、中堅以下の証券会社はひたすら縮小均衡路線を走らざるを得ません。1990年代後半の業界再編がまたもや繰り返されることになりそうです。
現状の株価をどう見れば・・・
はてさて堅調な株価。売り方が慌てて買い戻しているだけの踏み上げ相場だと思いますが、いったいどこまで上がるのでしょうか。そして割高感は出ていないのでしょうか。
バフェット指標(※)から株価水準を見てみましょう。

大きくとらえて、東証1部銘柄の時価総額が名目GDPを超えたのは1980年以降で3回目と考えてよさそうです。それにしても3度目は長い。3年近く1倍を超えています。
近年、株価水準が全体的にかさ上げされたと見ることもできます。
その要因として、
・株主重視の傾向が高まり、高い配当や自社株買いをする会社が多くなったこと
・経費削減が進み、利益が出やすくなっていること
・経費削減が進み、利益が出やすくなっていること
が挙げられると思います。しかし、個人的見解として、なによりも大きな要因はアメリカ株が堅調であることだろうと思います。
以下は1980年以降のNYダウの値動きです。

凄まじいばかりの右肩あがりです。一方、日本は↓・・・(悲惨)

失われた30年です。
(※)バフェット指標
バフェット指標とは、株価の割高・割安を判断する指標です。 株式の時価総額を名目GDPで割り、パーセント表示にした数字です。 一般に、この数字が100%を上回れば株価は割高、下回れば割安といわれます。米投資家のウォーレン・バフェット氏が用いているとされ、 バフェット指数とも呼ばれています。
バフェット指標とは、株価の割高・割安を判断する指標です。 株式の時価総額を名目GDPで割り、パーセント表示にした数字です。 一般に、この数字が100%を上回れば株価は割高、下回れば割安といわれます。米投資家のウォーレン・バフェット氏が用いているとされ、 バフェット指数とも呼ばれています。
最後に
日本株の価格を決めているのはもはや日本人投資家とは言い難い。
外国人持ち株比率は3割に達し、売買にいたっては6割に達しています。そう考えると日本株はまだまだ上げるリスクがあるともいえます。
そして、その上げ相場に踊る証券会社はまたもやビジネスモデルの変革を忘れ、問題は先送りされそうなのです。
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