日本勢、5Gの仇を6Gで返すことができるか

アンテナ



貧すれば鈍するというのは嘘ではないと思えるのが、世界でサービスが開始され始めた通信規格5Gにおける日本勢の存在感の無さです。

アメリカはおろか、中国、韓国にも水を開けられ、人口1千万人に満たない北欧のフィンランドやスウェーデンの後塵をも拝するという低たらく・・・。

いったいどうしてしまったのでしょうか。



6Gの世界


5Gが始まったばかりで、5Gでいったい何ができるようになるのかもわからないのに6Gと言われても・・・。

でも6Gって思ったほど爆発的にデータ通信能力が増えるのではないようです。通信速度は5Gの約10倍といいますので、5Gから6Gに変わったとしても天地がひっくり返るような進歩は起こらないものと推測します。(ちなみに4Gから5Gでは約100倍の差があります。)

とはいえ、5Gのさらに10倍。いったいどのようなことが現実化するのでしょうか。

データ通信量が多くなることで、遠隔地のロボットを操作したりすることが、より容易になるといいます。

例えば緻密な手術を、その道の名医が遠隔地の患者に施すことも可能になるでしょう。物理的な移動を伴わず、ゴッドハンドをあらゆる場所に提供できるのです。すごい!

日本政府による企業支援


日本政府、具体的には総務省が日本企業を応援する具体的な活動を開始しています。

2020年6月、日本政府は新たな戦略を打ち出して企業支援に乗り出しました。企業が国際会議などに参加する際の参加費用を補助したり、タフな交渉ノウハウを持つ人間の人材プールをつくるといったことも始めるようです。

日本ではそういったノウハウを持つ人が少ないため、数少ない猛者に多くの活躍をしてもらおうという算段なのです。

ところで、意外なことに日本の技術は落ちていないという明るいデータもあります。

以下は製造業における対欧米への技術依存度を示しています。

20201202gijyutu.jpg

バブル崩壊後も、一貫して日本は対欧米に技術を輸出していることがわかります。デフレで海外の技術を買うお金がなくなり、売るしかなくなったのかもしれませんが・・・。

しかし、その内訳を見ると若干の不安も感じます。

20201202gijyutu2.jpg

自動車と機械が強い一方で、エレクトロニクスは弱いことがわかります。自動車産業の一本足打法といえるでしょう。

(出所:社会実情データ図録)

標準化推進の重要性


そもそも北欧の小国、フィンランドやスウェーデンが5Gで存在感を高めたのは5G技術の標準化に積極的に協力したことによるところが大きい。

技術を抱え込まないで開放していくという割り切りが逆に功を奏したといえます。

一方で日本はガラパゴス化したため、標準化への取り組みが弱かった。この違いが5Gでの存在感の違いにつながったと考えられます。

同じ轍は踏むまいと日本も6G技術では標準化に力を入れています。そして、それを進めるための手段が補助金であり、人材プールだというわけです。

日本が抱える深刻な課題


日本が人材プールに頼らざるを得ないという別の悲しい現実もあります。「高齢化」です。

国際的な技術会議に参加する参加者の9割以上が40歳を超えているのが日本です。一方で、中国や韓国は半分程度となっています。

日本は技術者にも高齢化の波が押し寄せており、人口の高齢化、少子化、理系離れが若い技術者の育成を阻んでいます。

理系離れには少なからず学費の負担が過大であるという問題もあると考えられます。大学の学費はデフレにもかかわらず高騰する一方なのです。

以下は日本の大学の学費の推移です。

20201201gakuhi.jpg
(出所:文部科学省)

デフレなのに着実に値上げが続いています。

ただでさえ、理系の学費は高いのですから、脛をかじられる親はたまったものではありません。少子化が進むのもうなづけます。

いまや大学生の4割以上が奨学金を借りているという実態を政府はいったいどう考えているのでしょうか。不作為の罪としか思えません。

最後に


今後、日本の基幹産業である自動車産業は電気自動車への転換が急速に進み、それとともに新たな参入者が相次ぐものと想定されます。

競争が激化し、日本には基幹産業がなくなる可能性すらあります。

そうなる可能性も踏まえ、日本はいくつもの新機軸を見つける必要があり、6G技術はその重要な柱の一つです。ぜひとも5Gの仇をとり、日本の存在感を高めてもらいたいものです。

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