DeTAX(デタックス)。投資資金を減らさない課税の繰り延べ手段

なるべくなら税金は払いたくないと思うのは人の性ではないでしょうか。それがたとえ株の売却益であってもです。もちろん法を犯してはなりませんが・・・。
DeTAX(デタックス)という手法
株式取引でせっかく10万円儲けても、源泉徴収ありの特定口座であれば有無をいわさず2万円ほどが税金で取られてしまいます。
儲けたんだからそのくらい当たり前だろうというのは他人事だから言えることです、たぶん・・・。
そこで、後で評価損が出ている銘柄を売却すれば、利益と損失が相殺され、税金が還付されます。こんなことは問題を先送りしているだけであり、邪道な方法だと思っていたら、DeTAX(デタックス)などという言葉で、それを実践している投資一任運用会社がありました。
そうか、プロも同じことやってるんだ。もっともらしい名前もついているし、決して邪道なことではないのだと安心したのです。
DeTAX(デタックス)を活用している会社
DeTAXを行っているのは2020年12月中に上場が予定されているウェルスナビです。
ウェルスナビの説明によるとDeTAXは、税負担を自動で最適化する機能とされています。ウェルスナビはDeTAXの機能で特許を取得しています。
分配金の受け取りや有価証券の売却によって利益が実現すると、その利益に対して税負担が発生するため、DeTAXにより、税負担の一部または全部を翌年以降に繰り延べるのです。
繰り延べなかった場合より運用できる金額が増えるため、投資効率の向上が期待できるというわけです。
具体的手法
具体的には、評価損になっている銘柄をいったん売却して損を確定させ、すでに実現している利益と、売却によって実現した損失を相殺します。
そうすることで、その年の利益を圧縮もしくはゼロにし、税負担を翌年以降に繰り延べるわけです。ウェルスナビによれば、評価損が出ている銘柄の売却と同時に、同じ銘柄を、同じ数量、同じ価格で買い戻すとしています。
これにより、ポートフォリオを維持したまま、税負担を自動で最適化することができるわけです。
ウェルスナビが行っているのはいわゆるクロス取引と同じです。気になるのは権利の移転を伴わない取引は無いのと同じだといった見解が税務当局から出ていたような気がする点です。税法上、税負担の軽減はグレーである可能性はあります。
もっとも、評価損が出ている銘柄がなければDeTAXを行うことはできません。
また、買い戻した後、ポートフォリオ全体で損失を確定したら、税金は取られませんので、税負担を必ず繰り延べられるとは限りません。
ウェルスナビと同じく、投資一任運用サービスを提供しているお金のデザイン社のTHEO(テオ)も同様のサービスを提供しています(テオタックスオプティマイザー)。
THEO(テオ)では、利益確定→損失確定とは逆に、実現損失が発生している場合に評価益が出ている銘柄を売却して損益を相殺させるという取引も行うとしています。
また、同一の銘柄を買い戻すのではなく、類似の銘柄を買い戻すとあります。同一銘柄としていないのは上記の税務上の問題を避けるためであろうと推測します。
具体例で考える
DeTAXの具体例を考えてみましょう。2つの銘柄を運用していたとします。
A 100万円で買い、150万円に上昇
B 100万円で買い、50万円に下落
ここでAを売ると50万円の利益に対し10万円の税負担が発生します。この負担を避けるためにBを売り、50万円の損失を出すことで、通算損益はゼロとなり、10万円が戻ります。
その一方で、Bを即座に50万円で買い戻しておくというわけです。
いずれB銘柄が100万円に上がれば、同じように50万円利益が出て結局は10万円の税負担が発生します。あくまで税負担を繰り延べているだけであって、回避しているわけではありません。
ではなぜ一見無意味とも思える方法を取るかといえば、課税を繰り延べた10万円を運用することで、少しでも運用効率をアップさせようということなのです。
サービス提供側としては、課税を繰り延べることにより、投資家の資産が大きく見えるので見栄えも良くなるといった狙いもあるのではというのが勝手な憶測です。
最後に
DeTAX。一般投資家でも投資資金を少しでも減らしたくないのであれば有効な手段ではなかろうかと思います。ただし、同じ銘柄を同じ値段で買い戻すのは税務当局に目を付けられる可能性も否定できないため注意が必要です。
爆上げした銘柄を利食って、見込みのない銘柄を損切りする。そうすることで税負担を減らしつつ新たな有望銘柄を探すというのが最適ではなかろうかというのが個人的見解です。
(その場限りの課税逃れ取引を行うにあたってはくれぐれも自己責任でお願いします。)
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