財政黒字を目指せば景気は悪化し、最悪財政破綻するという皮肉


ドミノ




かの有名な経済学者、竹中平蔵さんが2020年11月下旬に放送された朝まで生テレビで発言した内容が大いに話題となっています。

竹中さんは「財政均衡論が誤りであったことがわかった」と言ったのです。小泉政権下において、プライマリーバランス黒字化を目標としていた竹中さんが、自らの誤りを認めたと考えることができます。



深刻な景気悪化は財政均衡を目指した後に起こる


財政赤字が縮小する、あるいは黒字化するということは、政府が国民経済から税金を多く吸い上げていることにほかなりません。

税金を多く取られれば、消費や投資に回る資金が少なくなり、景気が悪くなるのは小学生でもわかります。

ステファニー・ケルトン教授の著書、『財政赤字の神話』によれば、アメリカでも過去数度の深刻な景気後退はいずれも長期にわたる財政均衡の後に起きていると指摘されています。

アメリカの歴史が語る


具体的には以下の例が取り上げられています。

政府債務の返済期間債務減少率景気後退の始まり
1817-1821年29%1819年
1823-1836年100%1837年
1852-1857年59%1857年
1867-1873年27%1873年
1880-1893年57%1893年
1920-1930年36%1929年


クリントン政権下での財政黒字達成


近年でもアメリカは短期間ではありますが、財政黒字を達成した時期がありました。クリントン政権時代の1998年から2001年です。

そして、2012年には国家債務を返済可能という見立てでした。

しかし、2001年のITバブル崩壊による株式市場の下落を受け、2002年には景気後退に陥り、結局のところ再び財政赤字へと転じることになってしまいました。

日本はどうか


日本はバブル崩壊後、一貫してデフレが継続しています。

税収は落ち込み、景気をなんとかしようと国債発行を続けていますが、プライマリーバランス黒字化などというもはやなんの意味も持たない目標のために、国債発行は抑制的なものとなっています。

唯一救われるとしたら、赤字国債を出し続けたこと。もしも税収に合わせて政府支出を減らすような愚行をしていたら、日本は恒常的にマイナス成長に陥っていたことでしょう。

以下は日本の歳出歳入の推移と国債の残高推移です。

20201206syuusi.jpg

20201206saimu.jpg
(出所:財務省(一部加筆))

民間需要の減少を埋め合わせるべく、もっと国債を発行すべきでした。とりわけ、緑のラインでは政府支出の額が税収に合わせて減っています。

1つめは2001年から2007年にかけて、2つめは2010年から2019年にかけてです。1つめは小泉内閣、2つめは悪夢の民主党内閣から安倍内閣となります。竹中さんはまさに小泉政権下の経済ブレーンでした。

結果的に中途半端な対策を打っており、デフレからなかなか脱出できないというのが今の日本の姿です。

竹中さんはこの誤りにようやく気が付いたというわけです。

最後に


日本を代表する経済学者の一人である竹中さんが自らの認識を改めてくれたことは大きい。政府の諮問会議などに多く参加している大物だけに日本全体に影響を及ぼします。

しかし、財務官僚の頭はなかなか変わらないはずです。一般論として、民間企業は時代から5年遅れ、政治家は10年遅れ、官僚は15年遅れるといわれます。

半ば政治家に近い竹中さんが変わったとしても財務省の頭はあと5年は変わらず、むしろ財政均衡論の維持に腐心すると思われます。それが誤りなのは明らかなのですが・・・。

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