GMO、電子印鑑Agreeで弁護士ドットコムを猛追中

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印鑑レスで契約を交わすことのできる電子契約サービスが猛烈な勢いで普及しています。

その原因もやっぱりコロナ。2020年は新型コロナによって、社会のあり方が一変しました。電子契約サービスの急速な普及もその一つです。



電子契約サービス普及の引き金


在宅勤務によるテレワークが一般化しつつある中、「紙」に「印鑑」を押して「契約書」を作成するという単純な業務のハードルが高くなってしまいました。

皆が会社に出社していれば、簡単なことですが、一部の社員しか出社していないような状態だと、印鑑を押す権限のある人がいないとか、相手先に郵送しても人がいなくてなかなか返送がないとか、いろいろな問題が起こるわけです。

そこでにわかに注目を集めたのが電子契約サービスなのです。

契約書にお互いの印鑑を押す代わりに、電子署名やタイムスタンプを付与し、紙の契約書の代わりにしようというわけなのです。これを使えば、自宅でも、サテライトオフィスでも契約を円滑に取り交わすことができます。

さらにせこい話ですが、印紙税がかからないため節税にもつながるというメリットもあります。

印鑑がもつ法的性質


政府が印鑑レスを目指す一環として、国税関係書類への押印を不要とする法改正をするとか。

ところでそもそも、契約書への押印は法律上必要なのでしょうか?そんなことはありません。極端な話、口頭ベースでも契約は成立します。

それなのに署名や押印を求めるのは当事者の意思確認の有力な証拠となるからにほかなりません。電子契約サービスでは電子署名や電子サインが署名押印の代わりとなり、契約書の有効性を担保することになります。

国内トップシェアは弁護士ドットコム


国内で電子契約サービスのトップシェアを誇るのは弁護士ドットコム(6027)です。

「クラウドサイン」というサービス名称でサービス展開しており、その導入件数は2020年9月末期で約10万7千となっています。

前年から約倍増しています。サービス開始後5年ほど経過しており、約半数がこの1年弱で導入されたことになります。

売上も会社予想を上回っており、株価もうなぎ上り。まさに時代の波に乗ったといった感があります。

●弁護士ドットコム(6027)
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GMOが弁護士ドットコムを猛追中


クラウドサインの成長ぶりには驚きますが、さらにそれを上回るペースで急成長しているのが、GMOインターネット(9449)が提供する「GMO電子印鑑Agree」です。

1年前には1万に満たなかった導入件数が今年に入り急増し、9月末には約4万8千となっています。11月上旬には約7万にまで増えており、弁護士ドットコムを上回るハイペースです。

GMOは2020年12月以降、月額料金を半額以下に値下げしました。(20,000円→8,800円)

電子証明書も無料で1枚提供することとしました。これによりさらに競争力が増しており、弁護士ドットコムを追い越す可能性も出てきました。

ただ、GMOインターネットの企業規模からすると、電子契約サービス市場の売上規模はまだまだ小さいため、株価にはそれほどのインパクトを与えていません。

●GMOインターネット(9449)
202012179449.jpg

電子契約サービスはメッセージアプリを連想させる


さて、自分たちが電子契約サービスを使って契約を取り交わそうとしても、相手方が同じサービスを使用していなければ電子契約は成り立ちません。

そのため、相手にも同じ電子契約サービスを導入してもらう必要があります。無料ではありませんから、いくつものサービスを併用するのはコスト増につながります。

となれば導入するサービスはなるべく多くの会社が導入しているもののほうが良いという結論に達します。

日本ではメッセージアプリといえばほぼLINEのみというのと同じような構造です。皆が使っていないサービスを導入しても意味がありません。楽天のメッセージアプリ、Viberの存在すら知らない人がほとんどではないでしょうか。

先行者メリット、スケールメリットがもろに響いて、一強のみ生き残るといった特徴があるといえます。

最後に


新型コロナウイルスは電子契約サービスというブルーオーシャンを創り出しました。そして、このブルーオーシャンを巡って、2社がしのぎを削っています。まるで、VHS対ベータの争い(古い)を彷彿とさせます。

どちらが業界標準となるのか、または併存して共栄していけるのか・・・。

GMOが逆転するようなことになれば、会社の規模が小さい弁護士ドットコムの株価に暗雲が立ち込めてきそうな嫌な気配もするのであります。

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