東証再編が株式市場に地殻変動を引き起こす

長らく親しまれた東証一部という名称が無くなってしまうというのですから寂しい限りです。その代わりに「プライム」などという市場ができる予定です。
またまた外国かぶれのカタカナ英語が幅を利かせることになります。しかし、それもそのはず。
日本市場に外国人投資家を呼び込むことが目的なのですから。
新たなる市場区分とは
以前から報道されていた東証の再編がいよいよ具体化されてきました。
再編の時期は2022年4月になると発表されたのです。どのように再編されるのかは以下の図のとおりです。

東証1部がプライムとなるイメージですが、イコールではありません。
現状の東証1部は玉石混交であり、そこから振り落とすことが目的だからです。
プライムに残れる企業
プライムの上場基準は東証1部に比べて厳しくなります。
時価総額250億円以上が求められるほか、取締役全体の3分の1以上を社外取締役としなければならないとか、女性や外国人などの登用も求められるようです。
外国の物真似としか思えず、日本の会社にはなじまないと思われ、まともに機能するとは思えませんが、形だけでもグローバル・スタンダードに揃えなければならないという刹那主義の類です。
こんなことをするなら、いい機会なので上場を取りやめるという企業も現れてきそうな感じもします。
また、35%以上の流通株式数や流通株式数だけで100億円以上の時価総額も求められます。高い流動性を維持するとともに、株式の持ち合いによる安易な企業防衛を許さないという意味合いがあると推測します。
そのため、持ち合い株が多い上場企業は持ち合い解消の売りが出易くなっています。
今後の流れと持ち合い解消の動き
東証上場企業は今年(2021年)9月から12月の間に自社の希望する上場区分を選択することになります。その希望を受けて2022年1月にはどの会社がどの上場区分に属するのかが東証から公表される予定です。
今、持ち合い解消が進むとの思惑から株式市場ではそれを先取りした売りが出てきています。
流動性基準の判定は2021年6月末時点であり、それまでに持ち合い株が多い企業は政策保有先の株主に売却を依頼する動きがさらに出てくるはずです。
今後しばらく、投資する際には株主構成のチェックが欠かせません。
例年3月は持ち合い株式の売却が最も多く出る月であり、今年は特にその額が大きくなりそうです。
企業の反発による経過措置
現状、東証1部銘柄で、プライムの上場基準を満たさない企業は約600社ほどです。
しかし、経過措置により、ほとんどの企業がプライムに移れる見込みです。これには伏線があります。
市場再編劇がリークによって漏れ、上場企業からの猛反発を食らったのです。これにより、いわば骨抜きの市場再編となってしまいました。
(詳細は関連記事をご覧ください。)
TOPIX算出方法も変更へ
東証1部全部の銘柄の時価総額をもとに算出されていたTOPIXの算出方法も変わります。
対象銘柄は市場に流通する株式の時価総額が100億円を下回る企業は徐々にTOPIXへの影響度を下げていき、2025年には算出対象からも外されていく見込みです。
そのような銘柄はTOPIX連動のETFやインデックス投信で組み入れる必要がなくなるため、株価にはマイナス要因となります。
なお、プライムの上場基準とTOPIX算出の対象基準とは別物となりますので注意が必要です。
最後に
市場再編という特殊要因により、株式の需給関係に新たな要素が加わっています。
今後しばらくは、東証1部で株主構成が偏っていて流通株式が少ない企業や時価総額があまりに小さな企業は避けておいたほうが賢明だと思います。
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