NT倍率の異様な高騰は東証市場再編も一要因

日経平均をTOPIXで割った数値、NT倍率が歴史的高水準にあります。
2020年12月末にはいよいよ15倍を超えてきました。
相場が先物主導であることがその大きな要因だとは思いますが、もう一つ大きな要因があるというのが個人的見解なのです。
NT倍率の現状
以下は日経平均とTOPIXの値動きとNT倍率の推移です。


ここ15年を見ると一貫しての右肩上がり傾向がわかります。とりわけ2020年に入ってから、上昇が加速していることがわかります。
東証再編がその要因
NT倍率がなぜここまで広がってしまったのか?
その要因の多くは先物主導の相場牽引であると思います。
日経平均先物が買われるために、日経平均を構成している銘柄の株が必然的に買われます。紀伊国屋文左衛門のみかんと同じで裁定が働くのです。
しかしそれだけではないとふと気が付いたのです。なにか?
東証の再編です。いうまでもなく、TOPIXは東証1部全銘柄によって算出されています。しかし、2022年4月から東証1部という市場区分がなくなり、プレミアという市場区分が新たに登場します。
東証1部の銘柄がすべて移れるとは限りません。プレミアの上場基準は厳しく、現状の東証1部、約2,200銘柄のうち600銘柄ほどはその基準を満たさないと見られています。
経過措置はあるようですが、いずれプレミアから振り落とされる企業も出てくるはずなのです。
要因を分析
どうしてプレミアになるとTOPIXが日経平均に比べて相対的に下落するのか?
それは、プレミアに残り続けるには一定の流動性を保つ必要があり、そのために政策保有株の売却が進んでいるからです。
流動性基準は2021年6月末が基準となりますから、今年6月末までは東証1部、とりわけ中小型株に大量の売却が発生しやすいといえるわけです。
すでに政策保有株の売却は始まっており、例年の傾向を見ると3月末がピークとなりそうです。
NT倍率の今後
ではその後はどう考えればよいのでしょうか?
TOPIX銘柄が固まるのは2025年。
2021年の終盤にかけて、NT倍率の逆回転が始まり、2025年に向けてその差が縮小していくというのが個人的予想です。
最後に
日経平均売り、TOPIX買いのペアトレードは今しばらくは形勢不利な状況が続きそう。
今後しばらくはNT倍率がさらに拡大する可能性が高そうです。
しかし、今年(2021年)夏以降となれば話は別です。NT倍率が大きくなったときは日経平均売り、TOPIX買いのペアトレードでサヤを抜ける可能性は高いと見ます。
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