スターツプロシード投資法人に見る住居型リートの安定性

スターツプロシード投資法人(8979)から資産運用報告が届きました。スターツプロシード投資法人は住居型のJリートであり、この不況下でも健闘しているであろうことは容易に推察できましたが、念のためざっと目を通してみたのです。
スターツプロシード投資法人とは
スターツプロシード投資法人は、スターツコーポレーションをスポンサーとする住居型のJリートです。首都圏近郊の物件を中心に投資し、JCRからA-の格付を取得しています。
投資口価格は予想分配金利回りは4.60%、NAV倍率は0.92倍、時価総額は497億円となっています(2021年1月22日現在)。
住居型リートの中ではもっとも小型であり、その分、割安で高い利回りとなっているようです。
住居型ではありますが、商業テナントも5%ほど含んでいます。しかし、ほとんど大勢に影響はありません。
住居型リートの強さ
以下はここ2年のスターツプロシード投資法人の値動きです。
●スターツプロシード投資法人(8979)

そして、以下は東証リート指数の値動きです。
●東証リート指数

値動きの差は歴然。スターツプロシード投資法人はほとんどコロナ前の水準にまで戻ってきています。
なんといってもその強さの源泉は賃料の安定性です。住居テナントで賃料減額・支払要請があったのは5,165戸中わずか10戸という少なさです。
一方で、商業テナントでは62店舗中9件となっており、比率を比べるとその安定性は際立っています。
稼働率も2018年10月期から安定して95%以上を維持しており、コロナの影響はほとんどないと言ってよいレベルです。
今後の投資方針
興味深い今後の投資方針ですが、ポイントは以下のとおりです。
・地方の古い物件は継続的に譲渡していく方針
・東京外周部の古い物件も譲渡していく方針
・譲渡益は投資主に分配金として還元するほか新たな物件取得にも使用する方針
・優良物件の取得に努め、質的向上を狙う方針
・東京外周部の古い物件も譲渡していく方針
・譲渡益は投資主に分配金として還元するほか新たな物件取得にも使用する方針
・優良物件の取得に努め、質的向上を狙う方針
首都圏の優良物件に一層注力していくという姿勢が鮮明となっています。
人口減少は懸念材料ではないか
不況に強いとはいえ、日本は今後長期にわたり人口減少が続きます。人口が減れば家も少なくて済むのでは?という疑問も湧きますし、稼働率が下がるのでは?という心配も出てきます。
以下は、一世帯の平均人数の推移を示しています。

戦後、一貫して右肩下がり。核家族化による影響に加え、少子化、配偶者に先立たれた単身者の増加、結婚していない単身者の増加が平均人数を下げていると考えられます。
また、以下は世帯人数別の世帯数の推移です。

2人世帯、1人世帯の伸びが著しい。高齢化が進むにつれ、1人世帯の増加が多くなると思われます。
以下は年齢別未婚率の推移です。

これまた戦後一貫しての右肩上がり傾向です。
上記のような状況を踏まえると人口が減っても世帯数はなかなか減らないということがわかります。
スターツプロシード投資法人の物件は約66%がシングルタイプ、約14%がDINKSタイプ、約20%がファミリータイプとなっていますが、今後も1人暮らし、2人暮らし世帯の増加が見込まれるため、弱気になる必要はないと考えられます。
(データ出所:社会実情データ図録)
最後に
とにかく住居型は不況に強い。景気の影響を受けにくいため、キャピタルゲインは期待できませんが、安定したインカムゲインを狙う人にはぴったりといえそうです。
ましてやこのコロナ禍。ポートフォリオの中には忘れずに入れておきたい資産の一つだと思います。
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