インベスコ・オフィス・Jリート投資法人の資産運用報告からみるオフィス市場

会議室



インベスコ・オフィス・Jリート投資法人(3298)から資産運用報告が届いておりました。

インベスコ・オフィス・Jリートは外資系の資産運用会社インベスコ・グループをスポンサーとするJリートです。その特徴はなんといっても投資物件が大規模なオフィスであるというところです。



インベスコ・グループとは


インベスコ・グループはグローバル展開をしている独立系の資産運用会社でその資産運用額は約135兆円にのぼります。

インベスコ・グループ内のインベスコ・リアルエステートが不動産運用業務を行っており、その運用資産は約8.3兆円です。

インベスコ・オフィス・Jリート投資法人はその中の一部であり、時価総額は約1,300億円となっています(2021年1月現在)。

インベスコ・オフィス・Jリート投資法人の特徴


冒頭のとおり、インベスコ・オフィス・Jリートの特徴は大都市圏の大規模オフィスに重点投資を行っているところです。

資産運用報告の中の物件の写真を見れば明らかです。

巨大できれいなオフィスビルばかり。他のJリートなどは雑居ビル風の写真があったりするのですが、それとは一線を画しています。

なぜ、大規模オフィスに投資するのかといえば、賃料負担能力が高い優良テナントを確保しやすく、高い賃料を安定的に得られるからです。

要するに金払いのいい優良企業を確保しやすいというわけなのです。今後もその路線を変えるつもりはないようで、コロナ禍によるビジネスモデルの修正はないといっていいでしょう。

新型コロナウイルスの影響


懸念されるのは、財務力のある優良企業ほど、テレワークなどを積極的に導入するだけの資金力もあるということ。

テレワークが進めば大規模なオフィスなど不要と考える企業も出てくるはずです。

そのあたりは投資法人としても懸念していたようですが、想定よりも影響は小さかった模様。2020年10月期の平均稼働率は99.3%と高い水準を維持しています。

もっとも、今後の影響も考え、投資法人側は2021年10月期は96.3%にまで下がると想定しています。

ウイルスの影響と考えられる解約通知を39件受け取ったとのことであり、今後退居が進んでいくものと思われます。

2020年10月期の分配金は1口あたり410円だったのですが、2021年4月期の予想分配金は399円、2021年10月期の予想分配金は362円と慎重な姿勢です。

意外な賃料の推移


コロナ騒動でオフィスの賃料が2020年夏ごろから下落に転じたのは各種報道のとおりです。

しかし、意外なことにインベスコ・オフィス・Jリートにおいては2020年10月期に契約更新したテナント88件のうち、25件で賃料が増額されています。その他はほとんど賃料据え置きであり、実質値上げです。

交渉力が強いのか、よほど優良物件なのか、そのあたりは定かではありません。強気な交渉が前述の解約につながったと推測することもできます。

投資主価格の動向


資産運用報告をみると中身は悪くない印象ですが、投資主価格は冴えない動きです。

●インベスコ・オフィス・Jリート投資法人(3298)
20210124_3298.jpg

東証リート指数に比べて見劣りするのは明らかです。

●東証リート指数
20210124_reit.jpg

オフィス型Jリート大手の日本ビルファンド投資法人(8951)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)と比べても下げがきつく、戻りも鈍い。

原因ははっきりわかりません。謎です。

最後に


NAV倍率は0.82倍、予想分配金利回りは5.24%と割安感があるうえ、1口あたり14,530円とお手軽に投資を始められるのは魅力です(2021年1月22日現在)。

一方で懸念されるのは、コロナ騒動がもたらす社会の変化が恒久的なものとなるかどうか。大規模オフィス不要論が世に台頭すれば、それは明らかに逆風となります。

個人的には・・・、放置プレー。

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