ビジネスモデルは変わるか?大手証券も投信売買手数料を見直し

ネット証券では投資信託の販売手数料はほぼほぼ無料になったと考えて差し支えないでしょう。
そして、対面型の証券会社にも徐々にその流れができつつあります。しかし、それは本当に根付いていくのか、いささか疑問を感じざるを得ません。
カモにされてきた高齢者
個人投資家の株式取引の9割ほどがネット証券経由で行われています。対面型証券会社は株式取引の取次という業務では完全にネットにとって代わられ、いまや出る幕はほとんどありません。
そして、飯のタネとなっているのが投資信託。
利益が出ればすぐに解約させて、新しい投資信託に乗り換えさせる。そしてその都度、手数料をかすめ取るというのがお得意の阿漕なビジネスモデルであることは周知の事実です。
そして、そのカモになってきたのは概ね人の好い高齢者であることもよく知られたところです。
ねばりに粘って説得し、根負けさせるという社会的道義から逸脱した営業が横行してきたといっても過言ではないでしょう(すべてとは言いませんが)。
目標設定が現場の行動を左右する
当の証券会社も後ろめたさを感じているのは間違いのないところ。
しかし、そうしなければ食べていけないというジレンマの中では顧客よりも会社の都合を優先させることが多いのが実態です。
この背景には本社の目標設定の仕方もあります。
いわゆる手数料至上主義です。顧客の利益を優先すれば、会社の利益が損なわれるという利益相反のジレンマの中、与えられる目標は手数料だけだったりするのです。
綺麗ごとを言っても始まらない。綺麗ごとは目標達成してから言えって論理で、目標達成しなければ、しこたま怒られて立場は無くなり、居心地が悪くなって辞めるしかないというのがお決まりのパターンです。
本当に根付くか、新たな取り組み
そんな中、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(長っ)は、投資信託乗り換え時の手数料を無料とする取り組みを今年(2021年)1月から開始するといいます。
最初に手数料を払えば、あとはどの投資信託に乗り換えてもそのときの手数料は無料っていうわけです。
挫折の山があちこちに
しかし、こんな仕組みはとうの昔からあったというのが実際のところ。20年以上前からスイッチング時の手数料無料などといった投資信託は存在しておりました。
でも根付かない。高い理想を掲げても、収益が伴わないため、結局は過去のビジネスモデルに戻るといった悪循環が何度も何度も繰り返されてきました。
今回の取り組みも本当に根付いていくのか?眉に唾を付けておかねばならないでしょう。
一回投資信託から株に乗り換えさせて、再び投資信託に戻るといった抜け穴を使わないか、じっくりと金融当局や証券会社の本社は監視しなければいけないと思われます。
最後に
営業現場は結局のところ目標数値によって動く。会社の意に反せば、出世できないのですから、それはサラリーマンの性、本能ともいうべきものです。
となれば、本社が設定する目標数値が顧客本位となっていなければ成り立たない。例えば高齢者への投資信託手数料は営業数値に含めないなどといった施策が必要になるはずです。
営業マンの思考回路は変わらない。その思考回路を変えるのは本社機能の役割だと肝に銘じる必要があります。
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