仏作って魂入れず。2021年の各種法令改正

裁判所



とかく日本は西洋かぶれ。とりわけ会社法制についてはアメリカの真似ばかりしておりますが、そもそもアメリカと日本では文化的基盤が違います。

それなのに、法律は真似ばかりするのですから、まさに仏作って魂入れず。日本では独自の骨抜き法制に早変わりすることが多いというのが実態です。



改正会社法施行(2021年3月1日)


この春、会社法の改正が行われます。その目的はずばりコーポレートガバナンスの強化です。

会社法の改正により、上場企業などでは社外取締役の設置が義務付けられることになります。もっとも、取引所の要請により、ほとんどの企業は既に社外取締役を設置しています。

しかし、社外取締役が企業統治に積極的役割を果たしているかと問われればお寒い限りと答えるほかありません。社内の実態や人事を知らない社外取締役が取締役会だけ出たところで、的を射た発言などできるはずもありません。

せいぜい財務諸表から読める定量的評価や、常勤の取締役の意見に感想を漏らす程度にとどまっているのが実情というところでしょう。

多くの企業は疑問を感じつつも、法律だからやむを得ないという理由で社外取締役を設置したというところではないでしょうか。

取締役の報酬の開示に関する改正


上場企業などが株主総会で、個別の取締役の報酬を決めていない場合には、取締役会による決定方針の決議とその概要の開示が求められるようになります。

現状は、株主総会で取締役および監査役の報酬の総額が承認されるケースがほとんどであることから、ほとんどの企業が開示を求められることになりそうです。

これは大きな権力を持った社長が自らの報酬を含め、各取締役、監査役の報酬を鉛筆舐め舐め適当に好き嫌いで決めて、手なづけるようなことがないようにするためとされております。

株主提案権の濫用を防止


その他、株主による株主提案権の濫用を制限するため、株主が提案できる議案の上限が10個までに制限されることとなりました。

思い出されるのは、2012年の野村証券の株主による株主提案です。

なんと提案数が100個。そのうち、株主総会への付議要件を満たすもののみが議案として提出されましたが、その内容はほとんどギャグでした。

(関連記事)野村ホールディングスの株主提案で思い出し笑い

70歳まで働くことができる!?


なんだかなー、という感じなのが改正高年齢者雇用安定法の施行。

70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となります。

今のところ、努力義務なの、罰則はありませんが、将来的には義務化の可能性が高く、年金が切り詰められていくのとセットとなった政策であることは間違いありません。

緊縮財政でお金ないから年とっても働いてなんとかしろという政府の冷たい自己責任論が見え見え。

人生100年時代などといっても、実際100歳まで生きられる人などごくわずかなのにです。

その他、身近な法改正


その他、さまざまな法改正が予定されておりますが、私たちの日常生活に密接に関係しそうなのは、改正郵便法。

現状、土曜日も郵便配達に来てくれていますが、今秋からは来てくれなくなります。まあ、人手不足だし、しゃーないといったところ。

また2021年中には改正資金決済法が施行されます。

銀行以外の資金移動業者が100万円を超える送金をすることも可能となります。銀行と一般事業会社との垣根がまた低くなり、銀行はますます苦境に陥ることになりそうです。

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