ネット証券の二の舞。ロボアドにも価格破壊の波が押し寄せる

ロボットアドバイザーによる投資サービスがにわかに人気を博してまいりました。
簡単な質問に答えれば、ロボアドが資産配分を考えて自動で運用してくれます。忙しい現代人にはぴったりのサービスといえそうです。
また、売ったり買ったりで手数料をその都度取られることもないので、金融機関のカモにされる可能性も小さい。
しかし、人気が出て市場規模が大きくなれば当然起こるのが価格破壊という洗礼なのです。それはネット証券の今までの歴史をみれば明らかです。
日本におけるロボアド業界
ロボアド投資で日本最大なのはウェルスナビ(7342)。
2020年12月にマザーズ市場に上場しました。公募価格が1,150円だったのに対し、現状の株価は2,785円(2021年2月10日現在)。期待の大きさがわかろうというものです。
対抗馬としては、お金のデザイン社が提供する「THEO(テオ)」。
その他にも楽天証券やマネックス証券が同様のサービスを提供しています。
ロボアド投資のメリット
ロボアド投資のメリットはなんといってもメンテナンスが楽なことです。いったん質問に答えて、お金を入金すれば、自身に合った投資をロボットが自動的に行ってくれます。
投資対象は株式や債券、不動産や金などさまざまです。分散投資でリスクをコントロールしながら資産運用をしてくれるわけです。質問への回答によってリスク許容度が変わりますので、投資対象や投資比率が人によって変わってきます。
また、リバランスを自動で行ってくれるのもメリットの一つです。上がった資産を売却し、資産配分を適正に修正してくれますので、自分でいちいち株価や投資信託の値動きを気にする必要もない。
ロボットにお任せしておけば痒い所に手が届くといった感じなのです。
ロボアド投資の市場規模と手数料
日本におけるロボアド市場はまだ立ち上がったばかりであり、市場規模は数千億円規模です。
一方アメリカでは70兆円を超えており、日本の潜在需要は大きく、ブルーオーシャンが広がっています。
しかし、ロボアド投資はネット証券同様、差別化が難しい。となればいずれ手数料の引下げ競争が始まるのは必然です。
日本のロボアド投資は投資金額に対し、年率1%程度の手数料率が相場ですが、アメリカは0.3%程度が相場です。少額であれば手数料無料という会社もあります。
日本でも今春、利益が出ない場合は手数料を取らないというロボアド会社が登場する予定です。
ロボアドは価格破壊が容易
ロボアド投信は手軽で便利であるがゆえに価格破壊を起こしやすいという特徴もあります。
証券会社を乗り換えようとすれば、株の移管手続などで相当な手間暇がかかります。その面倒を考えれば、多少のコスト差などには目をつむり、現状維持という人も多いと思います。
しかし、ロボアド投資は嫌になれば解約して出金するだけ。気に入った会社があれば口座を作って入金するだけと、乗り換えがとても簡単です。
それゆえに手数料を安くすればすぐに顧客が移ってくる可能性が高い。そうさせないためにはブランドイメージの構築が必要ですが、金融は目に見えないサービスですから差別化が難しい。
結局のところ、コスト競争という消耗戦に陥らざるを得ません。
最後に
投資家にとって手数料はコストであり、ロボアド会社からすれば利益の源泉です。要するに利益が相反する関係にあります。
投資家にすれば手数料が安ければその分利益が大きくなるのですから、安いほうがいいに決まっています。
こう言ったら何ですが、各社とも、その運用パフォーマンスは大した違いはありませんから最後にはコスト競争になると思います。
しかし、安かろう悪かろうでも困ります。日本におけるロボアド市場はまだ始まったばかり。今後どのような地殻変動があるか楽しみでもあります。
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