単なる内ゲバ。経済学界隈の醜い争い、リフレ派とMMT派

財政破綻論の嘘、財政均衡論の嘘をあらためて認識させた現代貨幣理論(MMT)は、個人的にところどころ疑問点は残るものの、発想の転換という意味ですばらしい。
しかし不思議なのは、言ってることはほとんど同じだと思うのに、MMTを異端視して攻撃する経済学者が多いことです。
この醜い争いは日本経済にとって大きな損失となりかねません。なぜなら、一致団結すれば日本経済を大きく発展する力となるものを、力を分散させて弱くさせるものだからです。
不思議な中傷合戦
先日買った、元大蔵官僚で嘉悦大学教授、現内閣官房参与でもある高橋洋一氏と、上武大学教授で経済学者の田中秀臣氏の対談本である『日本経済再起動』を読み終えたのであります。
その中で、2人はMMTをこき下ろしているのです。
田中氏はリフレ派の経済学者として有名な方です。しかし、そもそもリフレ政策とはどのようなものなのでしょうか。
リフレ政策とは
デジタル大辞泉によれば
不況時に生産活動が停滞しているとき、インフレの発生を避けながら金利の引き下げや財政支出の拡大などにより景気を刺激し、景気回復を図ること。代表的なものに1933年以降、米国で採用されたニューディール政策がある。
とあります。
どう見てもMMTと対立する概念ではありません。素人からすればむしろ同じといって差し支えないのではないでしょうか。
現代貨幣理論とは
私の知識は以下の本から得たものです。よって当然その内容はこれらの本の内容の制約を受けます。
『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』
(中野剛志 著)
『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』
(中野剛志 著)
『国民を豊かにする令和の政策大転換』
(三橋貴明 著)
『知識0からわかるMMT入門』
(三橋貴明 著)
『MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実』
(藤井聡 著)
『財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生』
(ステファニー・ケルトン 著)
(中野剛志 著)
『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』
(中野剛志 著)
『国民を豊かにする令和の政策大転換』
(三橋貴明 著)
『知識0からわかるMMT入門』
(三橋貴明 著)
『MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実』
(藤井聡 著)
『財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生』
(ステファニー・ケルトン 著)
エッセンスだけをつまみ出せば、MMTの考え方は、自国通貨を持つ通貨主権国については財政的な制約を受けることがないため、政府債務の対GDP比やプライマリーバランスなどにとらわれる必要はなく、インフレ率を適正範囲にとどめるよう必要な経済対策を打っていくことができるというものです。
必要な経済対策はいうまでもなく、金融政策と財政政策ですが、金融政策には限界があるため財政政策が必要不可欠といった考え方です。
リフレ政策と相反する理論だとは到底思えません。乱暴に言えば同じです。
しかし、なぜかMMTは蔑視されるのでしょうか?
冒頭からおかしな記述が・・・
本には、「はじめに」という序章があり、高橋氏が筆をとっています。
その中に「MMTのデタラメぶりも指摘したい」「世間では私がMMTの本尊であるかのように誤解されている」などと書かれています。
少なくとも私の理解では高橋氏がMMTを広めたなどと誤解されていることはありません。日本で最初に紹介したのは中野剛志氏ではないかと思います。
高橋氏は日本政府の貸借対照表を作って、日本経済の財政破綻論の嘘を論理展開していたはずです。
しかし、会社じゃあるまいし、国家の貸借対照表を作ったところで何の意味もない。会社の論理であれば、債務超過を良しとするはずがありませんが、国家ならばOKってその根拠を説明できません。
MMTの考え方の要は国家は通貨を発行できるので、資金繰りはなんとでもなるということです。会社でいえばキャッシュフロー計算書が大事だということです。国家の貸借対照表など作ってもどうにもなりません。
そしてまた「MMTは本場アメリカでも、ノーベル賞学者のクルーグマン教授らの一流経済学者からまったく相手にされないほど批判を受けている」などと書かれております。
まるで虎の威を借りる狐みたいです。批判にさらされるものが誤っているというならば、今も太陽は地球の周りを回っているでしょう。
田中氏の奇妙なMMT批判
田中氏のMMTに対するレッテル貼りもひどいものです。
「MMTを主張する人たちは、それを悪用して、無制限に国債発行ができるかのように言っています」などと言っておりますが、私が知る限りそんなことは言っておりません。
インフレがコントロールできる範囲で国債を発行すべきだというのがMMTの主張ですし、高いインフレになれば金融引締、財政縮小などで低インフレを目指すのが妥当な政策でありましょう。
また以下のようなヘンテコな批判も展開しています。
「リフレ派のように積極的にベースマネーを増やしたり、ヘリコプターマネーでマネーを供給することを認めない。大規模な金融緩和政策を否定し、その代わりに彼らは財政支出を増やして、それを政府が雇用を生み出すための予算に使えと言う。インフレ目標政策のような将来の貨幣の超過需要を解消する発想はそもそも持っていません」
まったく的外れの批判です。
ベースマネーをいくら増やしてもインフレ目標に達しないから財政支出を増やすしかないというのがMMTによる経済運営の指摘です。
以下のグラフを見ればベースマネーが膨張しても一向にインフレ目標が達成できていないことがよくわかります。なお、2014年の物価上昇は単なる消費増税(5%→8%)の影響によるものです。

(出所:新世紀のビッグブラザーへ(三橋貴明氏ブログ))
アベノミクスが中途半端に終わったのは財政支出が伴なわなかったことも一因となっているのに、今だ金融政策だけでなんとかしようというのですから無責任極まりない考え方だといえるでしょう。
なぜこんな批判が起こる?
それにしても、本質的にはほとんど同じことを言っているのになぜこんな誹謗中傷合戦が起こるのでしょうか。
ここからはあくまでも憶測です。
MMTは比較的新しい理論であり、コロナ禍における国家財政のあり方を問う上で重要な一石を投じることとなりました。そして、その理論は正しいという認識が徐々に広がっています。
日本においてMMTを積極的に紹介し、肯定してきたのは若手の評論家(中野剛志氏や三橋貴明氏、藤井聡氏など)が中心です。そして彼らは経済学者ではありません。
経済学者のお株を奪って、今までの価値観を覆す経済理論を展開していきました。それを見ていた経済学者は面白いわけがない。
ほとんどやっかみでつぶしにかかったと考えるのが普通ではないでしょうか。男の嫉妬は見苦しいものです。しかし、負け惜しみの遠吠えをしているというのが実際のところではないでしょうか。負けを認めたくないという心理が働いているものと推測します。
その証拠に、アメリカのMMT派はともかく日本のMMT派は・・・などという発言が見られるのです。理論なのですからアメリカも日本もないはず。
なのに日本のなどという枕言葉を付けているのは個人的な怨念や恨み、好き嫌いで判断しているとしか思えません。
最後に
池上彰氏のバラエティニュースショーなどは「ニュースうそだったのか」などと揶揄される始末。日本経済の財政破綻論は虚構であることが徐々に浸透しており、池上彰氏の言うことなど信じる人のほうが少なくなってきているようです。
リフレ派にしてもMMT派にしても日本経済が破綻しないことを知っているし、日本が経済成長するために何をなすべきかを知っています。
変なプライドは捨てて、一致団結して日本経済復活のために協力してもらいたいと切に願うのであります。
もしよければ投票していってください。
Q.MMT(現代貨幣理論)は正しいと思いますか?
【関連記事】
現代貨幣理論(MMT)の名づけ親、ミッチェル教授が日経新聞に登場
財政黒字を目指せば景気は悪化し、最悪財政破綻するという皮肉
実はちっとも新しくなかった現代貨幣理論(MMT)
菅政権の経済政策は重大な危険性を抱えている
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