東証プライム市場から振り落とされそうな企業の焦り

東京証券取引所は2022年6月に現行の市場区分を廃止し、新たな市場区分をスタートさせます。
そして、今まで東証1部上場企業でござい、と胡坐を組んでいた企業の一部が実質の東証1部から振り落とされそうなのですから、その焦りたるや想像に難くないのです。
東証の市場改革と上場基準
既に各種報道で流れているとおり、東証の市場区分が以下のように変更されます。

現状の東証1部にあたる最上位市場である、プライム市場への上場基準は今の東証1部の基準よりも厳しくなるのです。
まず問題となるのは時価総額基準です。しかもそれは、持ち合い株などを除く、市場で実質的に売買可能な流通株の時価総額となります。
金額基準として、100億円以上が求められます。また流通する株式の比率は35%以上とされており、持ち合い株が多くて時価総額が小さい会社はプライムに居続けることが困難になります。
プライムの上場基準達成が厳しい企業
東証1部銘柄2196銘柄のうち、時価総額が100億円以下の銘柄は272銘柄(2021年3月3日現在)となっています。これらの銘柄は100%が浮動株であってもプライム市場に残るのは難しい。
10社に1社以上となりますからなかなか厳しい。
時価総額と流通株比率の基準を合わせた場合、1,000社近い会社が基準を満たすことが困難となりそうです。
ちなみに以下は東証1部で時価総額が小さいトップ10銘柄です。
CVSベイ(2687)小売業
20.1億円
一蔵(6186)サービス業
22.1億円
東天紅(8181)小売業
24.2億円
中広(2139)サービス業
25.5億円
ツナグGHD(6551)サービス業
25.8億円
MSコンサル(6555)サービス業
26.7億円
ナイガイ(8013)繊維製品
26.8億円
東京機(6335)機械
27.0億円
クラウディアHD(3607)繊維製品
27.1億円
オンリー(3376)小売業
27.5億円
田谷(4679)サービス業
29.0億円
20.1億円
一蔵(6186)サービス業
22.1億円
東天紅(8181)小売業
24.2億円
中広(2139)サービス業
25.5億円
ツナグGHD(6551)サービス業
25.8億円
MSコンサル(6555)サービス業
26.7億円
ナイガイ(8013)繊維製品
26.8億円
東京機(6335)機械
27.0億円
クラウディアHD(3607)繊維製品
27.1億円
オンリー(3376)小売業
27.5億円
田谷(4679)サービス業
29.0億円
こう言っちゃなんですが、確かに聞いたことがない会社が多い。その辺の中堅企業をあまり変わらない規模ではないかと思われます。
これでは確かに東証の最上位市場に残るのは不適切だと考えざるをえません。
東証からの通知待ち
東証は2021年6月末に流通株の割合等を計算して、2021年7月に東証1部企業にプライム市場に該当する企業であるかどうか通知することになっています。
もっとも該当しない場合でも暫定措置としてプライム市場に残ることはできますが、2021年12月までに上場の条件を満たすための行動計画を東証に提出しなければなりません。
その計画がとん挫すれば、スタンダードに格下げということになっていくはずです。
上場企業というブランド
なにしろ東証1部というブランドイメージは強い。取引先には信用を与えることができますし、優秀な人材を集めやすくもなります。
東証プライム市場からスタンダード市場へ移行すれば、いわば都落ちというイメージでとらえかねられません。
株価の推移にも影響を与える可能性があります。
プライムに残るために対応中
今、当落線上にいる企業は必死に基準達成のための努力をしています。持ち合い株が多すぎて流通株式の比率が少ない会社は持ち合い解消に向けた動きをしています。
また、株価が安すぎて時価総額基準を満たせない企業は業績向上のための営業努力や経費削減などといった具合です。
問題なのは持ち合い株が多くて、時価総額も小さい企業。持ち合い株の売却を依頼すれば株価は下がるため、業績向上の効果も薄まってしまいます。
あまりにハードルが高いと感じる企業はあきらめモードになっているのではないでしょうか。
最後に
東証1部銘柄を保有しているならば一度自分の持ち株をチェックしたほうがよさそう・・・。
時価総額が小さかったり、流通株の比率が低い場合は株価下落の圧力が長期にわたり続く可能性があります。
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