円キャリートレード再び。購買力平価から円安限界を探る

2000年代の半ばくらいだったでしょうか。さかんに円キャリートレードなどという言葉が使われました。
その後、自然消滅したかのように消えていきましたが、今再び、円キャリートレードが復活しているのです。
円キャリートレードの仕組
円キャリートレードとは、低い円金利でお金を調達し、金利の高い国の通貨に換えて運用する。これにより、高い確率で利益を出していくという取引です。
円売り、外貨買いによる円安が進みやすくなる一方で、巻き戻しのための取引をするには円買い、外貨売りの取引が必要となるため、将来的には円高要因になるといえます。
2000年代の円キャリートレード
2000年代の半ば頃、FRBは利上げを進めており、日本との金利差が広がりました。
そこで、投機筋が円の安い金利で資金を調達し、それを米ドルなど高金利通貨に換えて資金運用し、利ザヤを稼ぐといったことが行われました。
その際の円売りの圧力で2007年には124円まで円安が進んだのです。
以下は2000年以降の為替レートです。

(出所:社会実情データ図録)
その後、リーマンショックもあり、安全資産への資金逃避も相まって、実に1ドル76円台にまで円高が進みました。
コロナ禍が円買いを萎ませる
現状(2021年3月半ば)、円相場は1ドル109円前後とかなりの円安水準に突入しています。
通常時なら、円安が進むと輸出企業が将来の為替リスクを抑えるための円買いに走り、円高圧力も高まりますが、現状はそうなっていません。
その原因はコロナ騒動です。
海外の需要が減退しているため、輸出企業の外貨での稼ぎが減っているため、円への交換が少なくなっているというわけです。
そのため、一方的に円安へ進みやすい環境にあるといえるでしょう。
購買力平価から見た円相場
ところで、短期の需給による為替変動に目を奪われていると長期的な視点がぼけてくる。
そして、長期的な傾向として、為替レートは購買力平価に収束していくことに注目すべきでしょう。
以下は購買力平価と実際の為替レートの推移です。

このグラフから読み取れることは、
・消費者物価指数まで円安となることはまずない。
・輸出物価指数まで円高となることはまずない。
・企業物価指数を仲値ととらえることができそう。
といったことです。
2020年12月現在、企業物価指数の購買力平価は1ドル94円程度です。
今の円安は若干行き過ぎているといえそうです。
最後に
過去数十年にわたり、消費者物価指数の購買力平価を上回る円安になることはまずありませんでした。
現状の上記レートは1ドル121円程度です。
しばらくは円安圧力が続きそうな気配ですが、120円を超えるような円安が起こることはないと思われます。
ここからの円安局面では外貨建て資産を買うのはリスクが高く、保有資産があれば売却も検討すべき時期だというのが個人的な見解です。
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