2020年、尻上がりの自殺者増。そして特異な変化も

電車



コロナ騒動が始まった当初、自殺者は目に見えて減ったのです。こんなに長引くと思わなかったのか、むしろ学校や会社へ行かなくてもよくなって、ホッとしたのか定かではありません。

しかし、それは嵐の前の静けさのようなものでした。結局のところ、夏頃から自殺者は増加に転じ、終わってみれは2020年は11年ぶりの自殺者増。

そして、そこには今までにはない特異な傾向も現れているのです。



2020年の自殺者推移


以下は2020年の自殺者の推移を表しています。

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(出所:厚生労働省)

7月から顕著に増加し、10月にピークをつけて下げ止まりを見せていません。

例年の傾向を見れば明らかに年末に向けて減少傾向が見られるのに、2020年は逆に増加傾向を示しました。

これがコロナ騒動によるものであることは疑う余地がありません。

性別でも顕著な違いが


2020年、全体の人数は増加していますが、男性が減少しているのに対し、女性が増加していることが特徴的です。

とりわけ目立つのが30歳代以下。この世代では男女ともに自殺者が増加しており、若年層が苦悩の中にいることがわかります。

30歳代の女性は前年比で倍増しており、コロナ騒動による失職が自殺に直結したものと推測できます。

なにしろなにか事が起これば、非正規雇用から解雇されていく。そして、女性は非正規雇用の割合が高いのです。

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(出所:社会実情データ図録)

また、若い世代の自殺が多いのは貯蓄も少なく、いわば自転車操業であるからだと思います。働かなくては食べていけないのに、政府が薄い補償で、無責任な緊急事態宣言などを行ったためにその犠牲となったといわざるを得ない。

若い世代が借金を抱えて経済的に困窮していることは下のグラフを見れば明らかです。

20210318sisan.jpg
(出所:社会実情データ図録)

こんなコロナ禍で、財政緊縮などを叫んでいた政治家などがいれば責任は重大です。選挙で叩き落としてあげましょう。

コロナにかかわらず最近の傾向は深刻


そもそもコロナ騒動の有無にかかわらず、ここ10年の自殺者の動向を見ると、日本社会が病気を抱えていることは明らかです。

年代別にみると60歳代は約50%減、50歳代は約36%減と大きく減少しているのに対し、20歳代の減少は約24%減にとどまっており、10歳代に至ってはなんと約25%増となっているのです。

若い世代ほど今の日本に失望しているのは異様だとしか言いようがない。

そしてこんな日本にしたのは今の中高年者しか考えられないのですから責任は重大です。

最後に


2021年1月は1678人、2月は1626人の方が自ら命を絶っています。増加傾向はみられないものの依然として楽観はできません。

しかも例年、3月は自殺者数が多い。いくつか要因が推測できます。

まずは、年度末にあたる企業が多く、営業成績に発破をかけられ、心理的重圧がのしかかることです。

また、転勤や就職、入学など、4月から生活が一変する人が多く、不安を感じる人が多かろうこともあるでしょう。

季節的な要因も考えられます。2月は寒くて出歩くことも少なく、たくさん着込むため、日光を浴びることも少ない。

日光を浴びることは脳科学上、精神の健康を保つのに重要な役割を果たしていると考えられており、日光を浴びなかった冬の影響が一挙に上記の2つの不安と相乗効果をもたらしていると考えます。

それにしても若者が失望する日本社会は情けないといわざるを得ません。

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