家族信託という名の老後準備が広がっている

日本の高齢化が急ピッチで進んでいます。そして、高齢になれば多かれ少なかれ頭の働きは鈍るものです。人間、歳には勝てません。
それにしても2025年には700万人もの人が認知症になると試算されるというのですから驚きです。17人に1人が認知症になる世界って・・・。日本は徘徊老人であふれかえりそうです。
今、高齢者の資産管理に頭を悩ませる人が増えてきています。そして、注目されているのが「家族信託」という仕組みです。
認知症になるとどうなるか
認知症になって、意思能力を喪失すると金融機関はそのお客さんから意思確認することができなくなるため、預金などの引き出しに応じることができなくなります。
どうしても何とかしたいということであれば「成年後見人制度」を使って代理人として、預金を引き出すしかない。しかし、実際に成年後見制度が使われるケースは少ないのが実態です。
時間もかかるし、手間もかかるし、費用も高い。そのうえ使い勝手が悪いとくれば世に広がらないのも当然です。
以下は成年後見制度の利用者数の推移です。

(出所:厚生労働省)
知的障害を患う人の伸びに比べて利用者の伸びが少ないことがわかります。

(出所:厚生労働省)
にわかに注目される家族信託
成年後見制度の使い勝手が悪いせいか、最近つとに注目されているのが、家族信託という仕組みです。
2020年の利用件数は推計で5年前の3倍近くではないかとされています。
家族信託は、財産を託す「委託者」、託された財産を管理する「受託者」、その財産から利益を受ける「受益者」から成ります。
典型的な事例としては、高齢の親が委託者となり、意思能力がしっかりとしているうちに、預金や不動産などの財産を信託財産として、子に信託する。そして受益者は親となる方法です。
親が不幸にも認知症になってしまっても、受託者の子の判断で預金を引き出したり、不動産を売却することができます。
家族信託を利用していなければ、預金は引き出せないし、不動産は売却できないしで、親の生活もままなりません。そんな不便をなくすのが家族信託というわけです。
具体的な手続きの流れ
では実際に家族信託を利用するとなった場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
まずは弁護士や税理士などに相談し、信託の目的、受託者や受益者、信託財産などを明確にしていきます。
それが決まったら、公正証書で契約書にまとめます。金銭は専用の信託口口座を作って、受託者の財産とは分別して管理することになります。
便利なだけに悪用されることも
家族信託を活用するには高度で専門的な知識が必要ですが、手数料稼ぎで、自称専門家もたくさんいるといいます。
中途半端な知識でアドバイスするため、税務上や法務上、誤った契約も散見されるようです。
また、受益者の利益を考えずに受託者が自分の利益を追究するような本末転倒となる信託も見られるようです。
不正を防ぐために
受託者には大きな権限が付与されるため、その行為を監視する人が必要でしょう。
受託者がきちんと受益者のために行動しているかを監督する信託監督人をつけるのが効果的です。
また、弁護士などが必要なときだけ信託監督人として受託者を監督することも可能であり、コストも安く済むため、この点でも法定後見に比べて有利といえます。
最後に
誰しも認知症にはなりたくないもの。しかし、希望がかなうとは限りません。
今後の予想で悪いシナリオだと2050年には1000万人以上が認知症になると試算されています。

(出所:厚生労働省)
2050年の人口は1億人程度と予想されますので、もはや10人に1人が認知症という世界が待ち受けている可能性があります。
日本は今後どうなってしまうかと心配にならざるを得ません。
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