投資信託の残高が日本で低迷している理由

最近は、つみたてNISAやイデコなど、積立型の投資が浸透してきております。その運用商品は投資信託であることがほとんどであることから、若年層を中心に投資信託の存在感が高まってきたといえます。
とはいえ、投資信託先進国、アメリカに比べれば月とすっぽん。その差はいまだ歴然としています。しかし、それも無理からぬものだと思える一面もあるのでした。
家計に占める金融資産の比率
以下は、アメリカ、イギリス、日本の家計に占める金融資産の構成比です。

(出所:金融庁)
青枠がリスク資産と考えてよいでしょう。日本はリスク資産が少ないという特徴がありますが、それ以上に驚くのは現預金の比率の多さです。
しかし、これはある種合理的な行動であったといえます。
ここ30年あまり、デフレが続き、現預金の価値は相対的に上がるばかり。下手に運用などするよりも現預金にしておいたほうが結果的に増えるという結果を招いていたのです。
インフレが進むと思えばお金の価値は目減りするので、何かしらで運用せざるを得ない。しかし、近年の日本ではその必要に迫られることはありませんでした。
デフレで日本はどんどん貧困化
デフレのせいで、いかに日本が世界各国に比べて相対的に貧しくなっていったかは下図を見れば明らかです。

(出所:金融庁)
アメリカ、イギリスに比べて、家計の金融資産の伸びが著しく低い。日本人は知らぬ間にどんどん貧乏になっています。
それは3か国のGDPの伸びを見れば一目瞭然です。

(出所:世界経済のネタ帳)
日本はなんと1995年よりも低い。25年以上、まるで成長していないことになります。
それは株価の推移に如実に表れているのです。

株価の推移は超対照的
1990年代初め、日米ともに投資信託の保有比率はたいして違いはありませんでした。
しかし、1990年初めの株価を100とすると、アメリカは今や、1150にも達するというのに、日本は75程度です。
パフォーマンスの差は実に15倍以上・・・。これでは、日本の投資家が投資信託から離れるのも当然というものです。
それは実に合理的な行動でした。
日本が成長できない理由は1つだけ
日本が成長できない要因はひとえに政府の歳出が伸びていないことにあります。
それはアメリカ、イギリスとの比較でも明らかです。
●アメリカ

●イギリス

●日本

(出所:世界経済のネタ帳)
日本は1990年代からほとんど伸びていない。財政赤字を恐れた結果、財政支出を抑え、消費増税に走ったツケが回っています。
そしてその政策はもはや正しくないことは最近の経済学からも明らかです。
最後に
今からでも遅くはない。プライマリーバランスや政府債務のGDP比率などは何の指標にもならない。そんなものを気にしていたら、日本はますます衰退していくだけです。
大胆に政府予算を増やして、経済を成長軌道に乗せなければなりません。
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