日本の低成長・デフレ長期化は少なすぎる国家予算が原因

2021年度一般会計予算が参院を可決したといいます。その額は106兆円。
過去最大だの、3年連続の100兆円超えだのとその額が大きいことを問題にしているようなマスメディアもあるようですが、日本がデフレから脱却して成長路線に戻るには規模が小さすぎることは明らかです。
日本の国家予算推移
以下は日本の一般会計予算における歳出と歳入の推移です。

(出所)財務省
平成10年(1998年)あたりまで、歳出は右肩上がりでしたが、その頃から政府は急にサイフの紐を締め出しました。
まさにデフレに突入した時期を重なるのであり、国家予算が国の経済の行方を決めているといっても過言ではありません。
政府の財政規模と経済成長には因果関係が
以下は2001年と2019年の政府支出を比べて何倍になっているかを縦軸にとり、2001年に比べて2019年のGDPが何倍になったかを横軸にとったものです。

(出所:新世紀のビッグブラザーへ(三橋貴明氏ブログ))
明らかに正の相関関係があります。
成長しないから予算を増やせないなどという意見が出てきそうですが、日本政府が明確な緊縮財政路線を1997年から始めたことからも、その異論は誤っているといえます。
それにしても今だ、家計と国家財政を同じものとしてとらえる報道が目立つ。新聞記者の勉強不足は目に余ります。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/94237
この記事の考え方によって立てば、国家予算は税収の範囲で賄わざるを得なくなり、ひたすら縮小均衡。やがて国が崩壊することは間違いありません。
新型コロナが経済を明らかに
新型コロナウイルスはインフレ、デフレが単なる貨幣現象ではないことを明らかにしました。
リフレ派経済学者は片目でしか物事を見ていない。
例えばマスクです。
コロナ騒動勃発時、マスク不足でなかなかマスクが手に入らず、手に入ったとしてもとんでもない高値でしか買えませんでした。
その後、大金融緩和によってお金はじゃぶじゃぶと供給されましたが、それ以上にマスクの供給回復力は強く、いまやマスクデフレともいえる状態です。
一方で、ロレックスの時計はまるで投資の対象になったかのように品薄となり、現状でも中古の値段が新品を上回るといった状況です。
なにしろロレックスの時計はロレックスでしか作ることができず、供給が需要に追い付かないからです。
マスクはどこのメーカーでも構わないという人が多いでしょうが、時計にはこだわりを持っている人が多い。そこに行き場を失った緩和マネーが入り込んでいるというわけなのです。
若者の貯蓄嗜好という悲観
日本経済が立ち上がるためには財政拡大が欠かせないという考え方が徐々に広まりつつありますが、なお大勢を占めるには至っていません。
長引くデフレに慣れ切った人々の思考回路は完全にデフレ脳に支配されております。
スーパーで子どもがお母さんに「こっちのほうが安いからいいよ」などと言っている声を聞くと、子どもにまで緊縮財政路線が浸透していると考えざるを得ません。
民間(企業・家計)の需要回復は当面期待できません。民間は合成の誤謬という罠に完全にはまっています。若者に貯蓄嗜好が高まっていることからもそれは明らかです。
クルマに興味を示さず、飲み会にもいかない。そんな若者がおじさんになっても思考回路は変わらないはずです。
もはや政府主導の財政拡大しか日本経済復活の芽はないと確信するのであります。
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