生産性向上のための必須要素とその阻害要因

貯金箱



現在の日本企業は生産性が低いといわれています。

生産性を高めるにはいくつかの必須要素がありますが、そもそも論として生産性向上を阻害する要因もあり、ことはそれほど単純ではありません。



生産性向上のための必須要素


日本は長らく経済成長率が低迷し続けています。そしてそれは日本企業の生産性が低いからだという意見があります。

ところで、企業が生産性を向上させるためには投資が必須となります。民間企業の投資、それに加えて国家の公共投資も不可欠です。

投資には4つの要素があるといわれています。

1.設備投資
機械化、IT化などの設備投資により労働者1人当たりの生産量を増やすことができます。例えば、農地を鍬で耕すよりもトラクターで耕したほうが生産性が高いことは明らかです。

2.人材投資
企業は人なりです。最新の機械やコンピュータを導入しても使いこなせなければどうしようもない。それには研修などによる人材投資が必須です。良い人材がいるからこそ設備も生かせるというものです。

3. 技術投資
設備はやがて陳腐化します。常に研究開発を続け、新しい技術を開発しなければ時代から取り残されてしまいます。トラクターの例をとれば、より早く耕せるトラクターを作るための技術投資が欠かせません。

4.公共投資
民間企業だけが設備投資や技術投資をしても、その基盤となる道路や橋などの公共設備が整っていなければどうしようもありません。政府は企業が投資をしやすくするよう、環境を整えなければなりません。そのためには政府の公共投資が必要です。また、企業が人材教育をするとしても日本語がきちんと通じなければ仕事に指導もままなりません。義務教育のみならず、高等教育にも政府が投資をしなければ人材育成につながりません。


しかし今の日本には投資の必要性が無い


さて、そもそも生産性を向上させる目的は何でしょうか?

モノを欲しがる人(需要)が作る量(供給)を上回り、物不足の状態であれば製品を作ればどんどん売れる。

注文に応じられないようでは機会損失が発生するばかりです。機会損失を防ぎ、より大きな収益を得るには投資によって生産性を上げるしかありません。

しかし、これはモノ不足が発生しているからこそ起こることです。

現状の日本はどうでしょうか・・・。

モノを欲しがる人(需要)よりも作る量(供給)が多いような有様(デフレギャップ)であり、生産性を向上したらますますデフレが加速するという状態です。

以下は世界主要国のインフレ率の推移です。

20210403inhure.jpg
(出所:世界経済のネタ帳)

日本は1990年代後半から2010年代前半まで、インフレ率はほぼマイナスであり、いわゆるデフレが継続していることがわかります。

これでは企業が投資をするはずがない。なにしろ需要がなく、生産性を向上しても在庫が積み上がるだけだからです。

高度成長時代、日本が終身雇用だったという嘘


新自由主義(市場原理主義)がはびこっていく中、日本は雇用の流動性が低いなどと言われてきました。しかしそれは本当なのでしょうか。

以下の資料を見る限り嘘です。

20210403risyokuritu.jpg
(出所:厚生労働省)

高度成長時代のほうが離職率は高く、しかも自己都合による退職が多い。人手不足が常態化している時代で、労働者はすぐにほかの職を見つけることができたのです。

デフレ以降はどうか?

離職率は再び上昇基調となりましたが、会社都合による離職が多い。いわゆるリストラにより退職を余儀なくされたということです。

当然、次の職は見つかりにくく、条件も悪くなることが多いのが実情でしょう。

日本は長らく、終身雇用社会であったなどと言われますが、転職を希望しない人は生涯同じ会社で働けるだけの経済力があっただけというのが実態です。

このデフレ下で増税がささやかれるとは・・・


そして、世も末だと思えるのはここ最近、炭素税の導入がささやかれたり、コロナ後の増税の必要性を訴えるおバカな学者や評論家がいることです。

首相自ら、消費減税の可能性を否定するなど愚の骨頂です。自ら政策の手段を狭めるなどまともな指導者ならしないでしょう。あらゆる選択肢を残しておくのが賢明なリーダーというものです。

増税あるいは減税無しは、明らかにデフレ加速政策であり、風邪ひいてる人に冷や水ぶっかけるのと同じ愚策です。

かつて悪夢の民主党が東日本大震災後に復興増税などという超愚行をやったことは記憶に新しい。

日本の財政は健全化している


日本政府と日本銀行は合わせて統合政府と呼ばれ、民間企業でいえば、親会社、子会社の関係にあたります。

日本政府の債務である国債は、日銀の買いオペにより日銀の保有が増え、民間が保有する国債は減る一方です。

20210403kokusai.jpg
(出所:新世紀のビッグブラザーへ(三橋貴明氏ブログ))

民間企業の場合、親子関係にある連結決算において、貸し借りの関係は相殺されますからグラフのオレンジ色の部分は0になります。

近年、日本政府(主に財務省主導)は公共投資を減らしたため、債務は減少を続けており財政健全化が進んでいるが日本国民が貧困化しているというのが実態です。

推測ですが、財務省の役人は連結決算も理解していないのでしょう。複式簿記や連結決算を理解しておらず、単式簿記、家計簿の思考レベルに陥っているために、プライマリーバランス黒字化などという馬鹿げたことを言いだします。

また、日本政府は通貨発行ができ、民間企業や家計、地方政府は通貨発行ができないという決定的な違いも理解していないようです。

率直に言って頭の中は、お小遣い帳レべルから脱していません。随分と立派な大学を卒業したのでしょうが、親からお金もらって勉強に励んできただけの世間知らずということなのでしょう。だからこそお小遣いレベルの思考回路にとどまるわけです。

最後に


これ以上、財務省と自民党(公明党を含む)の無能ぶりに付き合わされたらかなわない。今年(2021年)は総選挙の年。

増税を目論んだり、消費減税に反対するような政党には絶対に投票しないと固く誓う今日この頃なのです。株価にも悪影響であることは明らかです。

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