Jリートに敵対的買収再び。インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人

一昨年のさくら総合リート投資法人をめぐる敵対的買収劇は記憶に新しい。そして今回、再びJリート銘柄の一つに敵対的買収事案が降ってわいたのです。
狙われたのはインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人
2021年4月2日の夜、アメリカの投資ファンド、スター・ウッド・キャピタル・グループが中堅Jリートの買収計画を突如として発表しました。
買収対象となったのは中堅のオフィス型Jリート、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)です。
インベスコは国内主要都市の大型のオフィスビルに集中して投資しており、時価総額は1,553億円、予想分配金利回りは4.36%となっています。
スター・ウッド・キャピタル・グループとは
スター・ウッド・キャピタル・グループは不動産を中心にグローバルに投資を行っている投資会社です。
運用資産規模は日本円にして8兆円以上。世界16拠点に4,000人規模の従業員を抱えており、東京にも事務所を構えています。
なお、スターウッドグループは既にインベスコの投資口を5.1%取得済です。
買収計画の概要
スター・ウッドによれば、今後、インベスコの全発行済投資口の取得を目指し、1口当たり2万円で公開買い付けし、非上場化する計画だといいます。
そして、この買収計画は両者の合意がないままに進んでいます。要するに敵対的買収です。スターアジアによるさくら総合リートの買収と同じ構図です。
インベスコの投資口価格は現状17,650円(4月2日)。約13%のプレミア付きで買収をかけるというわけです。
以下はインベスコの投資口価格の推移です。
●インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)

合併スキームと今後の推移
スターアジアがさくら総合の敵対的買収を目論んだときに問題となったのは法律関係が株式とは違うところでした。
リートの投資主はその投資口持分が過半数となると、受け取る分配金に対する税負担が増すため、株式会社が行うようなTOB(株式公開買付)による買収が困難であり、複雑なスキームを組まざるを得ませんでした。
今回はもろに敵対的買収を目指しておりますが、これはスター・ウッドがJリートではないため、投資主に配慮する必要がないからだろうと推測します。
明日以降、インベスコの投資口価格は2万円に近くなるはず。既存の投資主としては市場で売却するか、敵対的買収に応じるかの判断を迫られることになりそうです。
最後に
休み明けの本日、インベスコからどんな発表がなされるのか?注目です。
それにしてもコロナ禍による緩和マネーが世界で行き場を探しています。また、日本の超低金利は低コストでの資金調達を可能にしています。
これに加えて円安が進み、海外の投資家にとって、日本は魅力的な投資の場と化しています。
マネーの増加と円安により、2020年、国内不動産取得額の3割以上を海外投資家が占めるまでになっています。
今回のインベスコの敵対的買収案もその流れに沿ったものだといえそうです。ホルダーとしては目が離せない展開となってまいりました。
【関連記事】
【まとめ】スターアジア不動産投資法人とさくら総合リート投資法人との合併経緯
インベスコ・オフィス・Jリート投資法人の資産運用報告からみるオフィス市場
2021年のJリート市場をリードしているのは意外にも・・・
地銀が再びJリートに触手を伸ばす
利回り買いでJリート買われる。どこまでが許容範囲なのか
↓↓応援クリックお願いします↓↓

にほんブログ村
![]() | 図解でわかるM&A入門 買収・出資・提携のしくみと流れの知識が身につく [ 桂木 麻也 ] 価格:1,980円 |

![]() | 最新投資ファンドの基本と仕組みがよ~くわかる本第3版 金融・経済危機後の投資ファンドを知る! (図解入門ビジネス) [ 岡林秀明 ] 価格:1,980円 |

- 関連記事
-
-
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人への敵対的TOB大失敗に終わる 2021/06/18
-
地銀が再びJリートに触手を伸ばす 2021/03/04
-
オフィス賃料の下落が加速。オフィス型Jリートへの逆風が続く(2022年11月) 2022/11/08
-
スターアジアによるさくら総合リートの買収いまだ完了せず 2019/12/20
-
さくら総合リートに強力なホワイトナイト登場!さて勝負の行方は? 2019/07/05
-
コメント