株価指数はポンコツでも古いもの勝ちの世界

日本の株価指数といったら、まず日経平均を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
そして、かなりの差があってTOPIXといったところでしょう。しかし、株価指数として、どちらが優れているかといえばTOPIXというのが個人的な見解です。
しかし、TOPIXの存在感が日経平均を上回る日は永久に来ないというのもまた同じく個人的な見解なのです。
株価指数の算出方法
株価指数の算出方法はおおまかにいって3種類あります。一つは価格加重、一つは時価総額加重、そして浮動株調整後時価総額加重です。
同じ株価指数といっても、大きく算出方法が異なっており、その特色を掴んでおくことは有意義だと思います。
価格加重による方法
価格加重による方法は、指数の対象となっている株価を単純に足していき、一定の数値(除数)で割り算をして算出します。
(1,000円+2,000円)÷2=1,500円 といった具合です。
日経平均はこの方法により算出されています。225銘柄の株価を足して、除数で割ることにより算出されているわけです。
ただし、株式分割などがあった場合や、構成銘柄同士の合併などで銘柄を新たに組み入れたり、時代の変化で銘柄を入れ替えたりする場合には、指数の連続性を保つために除数を変更する必要が出てきます。
時価総額加重による方法
時価総額加重による方法では、構成銘柄の株式時価総額を足して、その合計を基準日時点の時価総額合計で割って算出します。
(1,000億円+2,000億円)÷10億円=300ポイント といった具合になります。
一昔前にTOPIXはこの方法により算出されていました。
なお、時価総額加重による方法でも構成銘柄が変化した場合には連続性を維持するための調整が必要です。
浮動株調整後時価総額加重による方法
時価総額が大きくても安定株主がほとんどで浮動株が少ないような銘柄もあります。
そこで浮動株の比率を考慮して時価総額加重による方法で算出したものが、浮動株調整後時価総額加重による方法となります。
TOPIXは2005年に時価総額加重から浮動株調整後時価総額加重による算出方法に変更されました。
日経平均の問題点
日経平均は単純に株価を足していくため、小さな会社でも株価が高ければ指数に与える影響が大きくなります。
現状、日経平均に大きな影響を与えている銘柄はファーストリテイリング(ユニクロ)(9983)です。
株価は1株約9万円にもなり、単元株を買うだけで900万円もの資金が必要です。現状の日経平均の除数は27.769となっています。(2021年4月現在)
したがって、9万円÷27.769≒3241円
日経平均の10分の1はファーストリテイリングが占めており、ファーストリテイリングの値動きが日経平均をテコのように大きく動かすという歪な構造です。
ファーストリテイリングは株式分割すべきと考えますが、東証が算出しているのはTOPIXですからお構いなしといったところなのでしょうか。その辺は不明です。
また別問題としてファーストリテイリングの柳井氏は新彊ウイグル民族への中国のジェノサイドに対して、政治問題であるとしてノーコメントを貫き、フランスのNGOに告発されるという始末。
人権や命を軽視しても金儲けさえできればいいという企業として見られ始めており、今後の業績や株価の推移も懸念材料です。
TOPIXのほうが実態経済に即しているが・・・
価格加重による方法に比べ、時価総額加重による方法あるいは浮動株調整後時価総額加重による方法では、会社の規模に比例して指数が動きますので、実態経済に与えるインパクトをよりダイレクトに示すといえます。
しかし、その存在感は日経平均に劣る。
なぜかと言えば歴史が古いからとしか言いようがありません。
日経平均が使われ始めたのは1950年。一方、TOPIXは1968年です。人は比較感の中で生きる。そして、一度使われ出した物差しを変えるのは容易ではありません。
例えば投資対象としてはJPX400は優れていると思いますが、過去との比較対象としての株価指数としてはまったく存在感がありません。
この点、株価指数はメッセージアプリと似ている。LINEの情報がジェノサイド全体主義国家、中国にダダ洩れになっていたとわかってもLINEは依然として日本の圧倒的メッセージアプリで居続けるでしょう。
とにかく早く社会に浸透したもの勝ちなのです。
アメリカも全く同じ構図
日本だけではありません。これはアメリカでも当てはまります。というよりもむしろ顕著です。
NYダウを構成しているのはわずか30銘柄。算出方法は日経平均と同じく価格加重による方法です。
指数としては浮動株調整後時価総額加重方式で算出されているS&P500のほうが優れているといえますが、知名度はやはりNYダウ。
NYダウは1896年から算出されているのに対し、S&P500は1957年に誕生しており、その歴史が浅いからだとしか思えません。
最後に
投資家としては、各々の株価指数の特徴を把握して投資に役立てていくほかありません。
時に歪な指数の動きが起こりますが、その特性を知っていれば慌てずに済むというものです。
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