個別銘柄の株価が株価指数によって歪められている

アクティブ運用は結局のところ、多くの場合パッシブ運用に負けます。
そんなことになるのならばコストは低いほうが良いに決まっている。ということで昨今はパッシブ運用が投資運用の主流になりつつあります。
しかし、ある種何も考えないパッシブ運用はその構成銘柄の株価に歪を生じさせる可能性も秘めています。
パッシブ運用の存在感増す
最近の投資家はコストに敏感で金融リテラシーが高い。それゆえ、金融機関に無駄な手数料を貢ぐようなことはしなくなっています。
当然運用はパッシブ運用に偏っていくことになります。
運用担当者も銘柄選びに腐心しなくてもよいですから機械的に売買するだけで済みます。運用成績をとやかく言われることもなく気楽なもんです。
しかし、何も考えないで指数構成銘柄を機械的に買うのですから、指数に組み込まれているだけで買われるという銘柄も出てくるというのもまた事実です。
そこにはファンダメンタルに基づく株価形成が欠如しています。企業の価値を判断して適正な株価を発見していくという機能が弱くなるわけです。
日銀によるETF買いの影響
典型的なのが日銀によるETF買いです。日銀によるETF買いは2010年末に始まり、買付規模が膨らんでいきました。
2020年には上限が年12兆円にまで達しています。
日銀のETF買いは当初、日経平均連動のETFが主でした。そうなると日経平均を構成している225銘柄の株価は実態よりもかさ上げされる可能性が高くなります。
こういった問題点を踏まえ、現状ではTOPIX連動型のETF買いの比重が高くなっています。
そして2021年4月以降はTOPIX連動型のETFのみを買い付けることになりました。これで日経平均構成銘柄が不自然に高くなるという要素が一つ減少しました。

(出所:日本銀行)
日銀によるETF買いの存在感は大きく、東証1部銘柄の時価総額はうち、6%以上は日銀が保有しているのが実態です。
当然、東証1部上場銘柄は銘柄数が多いゆえ、影響は薄まるとはいえ、かさ上げされる可能性があるわけです。
尻尾が頭を振り回す
また株価指数先物取引やオプション取引などのデリバティブ取引が原資産である株価に影響を与えるケースも想定されます。
先物主導で株価が動いた場合、先物と現物に裁定が働きますから、魅力のない銘柄にも否応なしに買いが入ったりします。
先物が現物を動かす、いわば尻尾が頭を動かすような事態が出てきます。
ITバブル崩壊時の異様な動き
そのほかにも銘柄の入れ替えが思わぬ影響を与えることがあります。思い出されるのは2000年に日経平均構成銘柄のうち、30銘柄が一気に入れ替えられた際のことです。
30銘柄の多くはIT関連株が占めました。その後、ITバブルが崩壊したため、異常なほど日経平均は下落しました。
以下は日経平均(青)とTOPIX(赤)の値動き比較です。

ITバブルが崩壊した2000年後半以降、日経平均がTOPIXに比べ大幅に下落していることがわかります。
そして、昨今は逆の動きです。日経平均のパフォーマンスがTOPIXを大きく上回っています。
これは時価総額の大きい銀行株が最近さえないためであると考えられます。
最後に
株価指数も個別銘柄同様、相場環境によって特徴ある動きをします。
株価指数の特徴を把握しておけば多面的な分析ができることから、現物株投資にも有益だろうと考えられます。
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