ついに現物株まで手数料が無料に!SBI証券の野望

25歳まではいくら取引しても現物株の手数料が無料。単なる若年層投資家の青田刈りかと思ったら、そうではありませんでした。
まずはそこから始めるというだけ。SBI証券の無謀とも思える手数料戦略は他のネット証券そして対面証券をも揺るがすことになりそうです。
auカブコム証券、日和る
株式売買手数料の先鞭をつけたのはauカブコム証券だったと記憶しています。
しかし、それは信用取引の手数料のみ。いずれ現物もという話だったかと思いますが、今だそれは実現していません。
信用取引では金利という別の収益が得られますが、現物株取引の手数料を無料にしたら、得られるものは何もありません。
一定金額まで無料という形態は今もありますが、金額や回数にかかわらず無料という証券会社は日本では存在していませんでした。
SBI証券がついに・・・
2021年4月20日からSBI証券が25歳以下の顧客の現物株取引の手数料を全額キャッシュバックを始めたのです。
冒頭のとおり、学割みたいなものかと思ったらさにあらず。対象となる顧客を段階的に広げて、来年(2022年)を目途に売買手数料の完全無料化を目指すというのですからただ事ではありません。
しかし、採算は取れるの?
いったい採算は取れるのでしょうか?
1年半ほど前、アメリカのネット証券に追随してSBI証券も手数料を完全無料化するという話はありました。その際に、試算したのが以下の図です。(2019年3月期ですがご容赦を)

なお、2020年3月期の営業収益は1,244億円、営業利益は421億円となっており、収益の柱を増やさなければ、かなりの減益となりそうです。
しかし、無料にしても黒字を出せるということ自体が驚きです。
他の証券会社はどこまで追随できるのか
他のネット証券はこの動きに追随できるのでしょうか?
最大のライバルである楽天証券は、楽天モバイルのテコ入れ策で楽天グループが苦しんでいるため、すぐに追随するのは難しいとみます。
このチャンスを逃してはならぬと一気にSBI証券は抜け駆けしたというのが下衆の勘ぐりです。
そして、他のネット証券はさらに収益基盤が弱いため、完全無料化したら、ほとんど利益は出なくなると推測します。
対面証券は同じ証券会社とはいえ、もはやビジネスモデルは完全に別物と見なければならないでしょう。
最後に
今後はさらに装置産業としてのネット証券と、コンサルティング営業としての対面営業という構図が尖鋭化するに違いない。
そして、中途半端な証券会社、営業マンは駆逐されてしまうはず。随分と厳しい世の中になりました。想像を絶する消耗戦です。
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