累進課税は景気拡大と景気悪化の緩衝役となりうる

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格差拡大が世界的な問題となっているのはご承知のとおりです。日本ももちろん例外ではありません。日本はここ20数年で格差が拡大した上に、所得が減少して皆が貧しくなったという大問題も抱えています。

そして、その格差を拡大させる消費増税が何度にもわたって繰り返されてきました。デフレから脱却するまでは消費税は上げないのはもちろんのこと、減税するのが正しい政策であることは明らかです。

また景気の高低は所得税の累進税率を上げることでその調節をしたほうが良いこともまた明らかなのです。



累進課税が景気のバランサーとなる


所得税の累進課税は景気の良し悪しの悪影響を相殺する良きバランサーとなります。

景気が悪化して所得が減れば、課税所得が減って税負担が軽くなり、消費の冷え込みを抑える方向に働きます。

一方、景気が良いときは所得が増え、税負担が重くなり消費できる金額が所得が増えた割には増えないため、景気が過熱して高インフレになることを防ぐことができます。

消費税はどうかと考えれば全く正反対。

景気が悪くなっても税負担は減らず、ますます景気悪化に拍車をかけます。景気が過熱しても所得以上の伸びでは消費税の負担は伸びないため、景気をますます過熱させる方向に働きかけます。

消費税は安定財源などと言われますが、それゆえに国民は苦しめられることになります。

考えてもみてください。米が不作なのに、年貢米を増やされたら自分たちが食べる米が無くなって飢え死にしてしまいます。

デフレ下の消費増税はまさにこれです。こんな卑劣かつ愚行ならびに冷酷なことを安倍政権はなんと2度も繰り返しました。国民が飢えているのに年貢米を増やしたのです、2度も。

消費税の高低の問題ではない


日本の消費税率は10%。欧米に比較すると低率ではないかという指摘もあります。

しかし問題なのは率の高低ではありません。デフレ下で税率をアップさせたことが大問題なのです。

米が豊作であれば年貢を増やされても食べていけるでしょう。しかし、不作(デフレ)なのに税率を上げたことに問題の本質があります。

まず誤ってはいけないのは方向感です。それをあっさりと見誤ったのが2019年10月の消費増税でした。

法人税が高いと会社が逃げるという嘘


消費税アップとまるでバーターとなっているかのごとく下げ続けているのが法人税です。

もっともらしく語られるのは法人税を下げないと企業が外国へ逃げていくという話。それが嘘だということは法人税率が下がり続けているのに、一向に海外への投資が減らないという事実です。

以下は法人税率の推移です。

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(出所:財務省)

以下は日本の海外直接投資の推移です。

20210502kaigaitousi.jpg
(出所:社会実情データ図録)

法人税率が下がっているにもかかわらず、企業は海外への投資を加速させていることがわかります。

要は儲かるか儲からないかの話であり、デフレで需要が弱い日本に投資しても儲からないから、需要が強い海外へ出ていくという話であり、法人税の高低などまるで関係がないというのが実態です。

財務省は経産省の下の経理庁にすべき


それにしてもなぜこのような愚行が繰り返されてきたのでしょうか。

その元凶は財務省にあります。

財務省は安定税収(年貢米)の確保だけが目的であり、人々がいかに苦しもうがまったく無関心です。自分たちは景気が悪化しても解雇されることはなく、デフレで苦しんでいる人がいても高見の見物程度の認識でしょう。

財務省は省庁の中の省庁などと言われていますが、その内実は単なる経理係、出納係であり、強大な権力を持たせる必要はありません。

金庫の鍵を持っていて、皆がヘコヘコすり寄ってくるから勘違いしているだけ。なんとかに刃物と同じなのです。財務省からは金庫の鍵を取り上げる必要があります。

財務省はまともな国家の財務戦略など無いのですから名前を変えたほうがいい。また省である必要もなく、経済産業省の外局にして庁に格下げするべきです。

経理庁あるいは出納庁あたりのネーミングがふさわしいと思います。

安倍元首相は国民よりもお友達を大切にした冷相


それにしても安倍元首相はあれほど反対意見があった消費増税をなぜ押し通してしまったのでしょうか。その後のコロナ騒動はリーマンショック以上のショックとなりましたが、減税を行うでもなく、無責任にあっさり政権を放り出しました。

健康問題があったのかもしれませんが、その後の活動を見れば重篤であったとも思えず、国民を裏切ったとしかいいようがありません。

そして、その陰にチラつくのが麻生財務大臣。お二人は仲良しのようであり、消費増税を2度延期して、また延期すれば麻生財務大臣の顔をつぶしてしまうから上げたという見方もあります。

おぼっちゃまくん同士ですから、国民の苦しみなどわかりようもなく、ひたすら政権維持のために机上で作戦会議をし、票取りだけを考えていたに違いないというのが個人の見解です。

アメリカは舵を切り始めた


ところで、アメリカはひたすら広がり続ける格差の是正に向け動き始めました。

バイデン政権は2021年4月、法人税の増税を打ち出しました。

今までは会社が儲けてすぎて大株主や金融業者、経営者だけが私腹を肥やしてきました。いくらなんでも行き過ぎだということで振り子が戻りつつあります。

具体的には法人税率を21%から28%に引き上げる案が出ています。

日本もこの方向に舵を切る必要がありますが、その邪魔をするのが財務省、御用学者、御用ジャーナリストそしてその宣伝機関である大手メディアです。

最後に


いい加減、財務省の横暴は止めなければならない。

1990年代後半以降、日本がデフレから脱却できない最大の要因(真犯人)は財務省です。財務省は出納庁に格下げして強大な権限を奪い取るしかない。

さもないと日本は沈没します。(既に沈没しつつあります。)

■投票所:MMT(現代貨幣理論)は正しいと思いますか?

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