円安でも株が上がらない。パンデミックが変えた株と為替の相関

日本経済新聞の記事によれば、新型コロナウイルス騒動勃発後、日本株と為替の従来の相関関係が崩れたとされます。
今までは円高は株安をもたらし、円安は株高をもたらしてきたのですが、現状ではそうなっていないというのです。本当なのでしょうか?
コロナ騒動前を検証
主観が入りようもない数値データですから本当もクソもありませんが、自分で確かめてみないと気がすまないという面倒くさい性分もあり、ざっくりと調べてみました。
以下は2010年2月末から2020年1月末までの約10年間の円ドルレートと日経平均の動きです。

グラフを見てもイメージがわかないため、相関係数を割り出したところ、0.882となりました。
極めて高い正の相関関係にあるといえます。円安は株価にプラスの影響を与えていることがわかります。
コロナ騒動後はどうか
以下はコロナ騒動が始まった2020年2月末から直近2021年4月末までの円ドルレートと日経平均の動きです。

相関係数は-0.010となっています。
負の相関関係とまではいえませんが、相関はほぼなくなっていることがわかります。
やはり日経新聞の論説は的を射ているといえそうです。
その原因はどこに?
ではその要因はどこにあるのでしょうか?日経新聞では以下の3段階を挙げています。
1. コロナショックによる金融危機を恐れた金融機関、企業が決済資金であるドル確保に動いた
2.世界的な金融緩和により金利が消滅し、ドル安円高であっても資金が株式市場に資金が流れ込んだ
3.巨額の財政出動により米金利が上昇しドル高円安となったが株式市場は金融引締をにらみ上がりにくい
2.世界的な金融緩和により金利が消滅し、ドル安円高であっても資金が株式市場に資金が流れ込んだ
3.巨額の財政出動により米金利が上昇しドル高円安となったが株式市場は金融引締をにらみ上がりにくい
投資のパラダイムは変わったのか
さて、この変化は不可逆的なものなのか、一時的なものなのかが気になります。
まず1。
最近は有事の円買いなどと言われ、何か事が起きると円やスイスフランが安全通貨として買われてきました。しかし、今回は一昔前の有事のドル買いに戻りました。
これは今回のウイルスショックがアメリカ発ではなく中国発であったこと、アメリカが単独で引き起こした有事ではなく全世界が巻き込まれたことに起因すると考えられます。
よって、今後も何かしらの国際的ショックはあると思いますが、その起点と影響度によりドル買いとなるかドル売りとなるかはケースバイケースになるはずです。
そして2。
今回のコロナショックはロックダウンに象徴されるように経済機能が世界的に麻痺し、各国とも大規模な財政支出を行うことにより自国民を救うほかありませんでした。
よって、金融緩和は当然正しい政策となるわけですが、コロナ騒動もいつかは終わる。
金利ゼロが永続的に続く世界は考えにくいと思います。現にアメリカは金利が上昇しています。
●米国債10年金利

ちなみに以下は日本です。
●日本国債10年金利

アメリカにお金が流れるのは当然でしょう。
最後に3。
これはコロナショックにかかわらず、教科書どおりの動きであり特段目新しいことでもありません。
個人的見解としては、コロナショックにより為替と株の関係におけるパラダイムシフトが起こったとは思えません。
気になる動き
それにしても驚かされたのは日経ネットに掲載されていたどこかの研究者の記事。
日本は歳出削減か税収増、あるいはその両方が必要であり、何も対策を施さずに現状のまま放置すれば、10年後の財政破綻確率は50%、20年後は60%だというのです。
しかも財政破綻確率という定義は「国の債務残高の名目GDP比が、家計の金融資産保有額を十分上回る400%を超え、増加を続けた回数の割合」だというのですからもう滅茶苦茶。
財政破綻の定義を勝手に作れるのならば数字はなんとでもいじれます。
それにしてもこんなデフレ下で歳出を削減して増税すれば日本は奈落の底に落ちます。
デフレが加速し、企業は海外投資を加速して日本国内の産業は空洞化。失業者が増加することは目に見えています。最後には外貨建ての国債を発行せざるを得なくなり、本当に財政破綻の道を辿るかもしれない。
こんな時期にプライマリーバランス黒字化などと言い出す輩は日本の敵としかいいようがありません。
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