気になるオフィス・ホテル不動産を取り巻く話題

一時はどうなることかと思ったJリートもほぼコロナ騒動前の水準に戻ってまいりました。
落ち込みが激しいホテル型を除いて考えればコロナ騒動前を上回る水準ともいえそうです。
現状、Jリート業界で懸念されている業態はオフィス、ホテル、商業施設といったところ。物流は絶好調、レジデンスは安定を保っています。
東証リート指数が急回復
以下は東証リート指数の値動きです。2021年に入り、ボックス相場を抜け出して上放れしました。
●東証リート指数

株価に遅れて追随したと考えられます。金融緩和とワクチン接種が始まったことの影響が大きいと思われます。
しかし、日本はワクチン接種が遅れているせいかオフィス・ホテルの動きが鈍い。いったい今何が起こっているのでしょうか。
各業態のトップから傾向を探る
以下は各業態で時価総額が一番大きい銘柄の値動きです。
●アドバンス・レジデンス投資法人(3269) ※レジデンス(住居)

やはり住居は景気の影響を受けにくいと実感します。コロナ騒動などどこ吹く風といったところで抜群の安定感です。
●日本プロロジスリート投資法人(3283) ※物流施設

巣ごもり消費はむしろ物流系にとって追い風となりました。コロナ騒動をむしろ追い風にして伸びており、今後も電子商取引の好調が続くでしょうから堅調が続くと考えられます。
●イオンリート投資法人(3292) ※商業施設

思いのほか堅調で2020年春の暴落から一貫した右肩上がり傾向。政府がいくら自粛を促しても国民はその胡散臭さがわかっているため、過度の自粛をしていないことがわかります。
また、自粛疲れで買い物に行くくらいが楽しみとなっているという面もあろうかと思います。もはやコロナ騒動などなかったのと同じ水準にまで回復してきました。
●日本ビルファンド投資法人(8951) ※オフィス

戻りが鈍い。オフィスを取り巻く環境が厳しさを増していることがわかります。コロナ騒動によるテレワークや電子会議は従来の仕事の進め方を大きく変えました。
これはコロナ騒動が収まっても変わらずに残り続ける可能性が高い。電子会議などは物理的移動を伴わないため、効率的に時間を使えることが明らかになりました。
よほど込み入った話でなければ電子会議で十分ことは足ります。
●ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) ※ホテル

オフィス以上に戻りは鈍い。それもそのはず、分配金の下げがひどい。ジャパン・ホテル・リート投資法人の場合、利回りは0.4%ちょっと。
逆張り投資家以外は買える水準ではありません。
電子会議が当たり前となりつつある中、出張需要は今後も戻らないでしょう。リゾートホテルはアフターコロナで急回復する可能性が高いですが、ビジネスホテルは今後も低空飛行を続ける可能性が高く、成長は期待できません。
オフィス不動産を取り巻く話題
いい話はありません。2021年上期の新築ビルの賃料は1年前に比べて8%以上下落しています。
唯一救いなのは2020年下期に比べて、リバウンドにより若干は値上がりしたことです。
既存ビルはまだまだ健闘しており、2021年上期は1年前に比べ賃料は若干の値上がり。しかし、値上がり幅はどんどん縮小しており、値下がりに転じるのも時間の問題といえそうです。
なにしろ空室率が急上昇しているのです。2020年2月には1%台だった東京都心のオフィス空室率が2021年3月には5%以上にまで上昇しています。
不動産会社は弱気に転じており、値を下げても入居を勧めざると得ない。今後も明らかに買い手市場が続きそうです。
ホテル不動産を取り巻く話題
ホテルのブランド名をつけて、賃貸と分譲とホテルが混在した「ホテルブランデッドレジデンス」なるものが日本でも登場してきました。海外では比較的多く存在しているとのこと。
居住者はホテルのサービスを利用することができ、非日常的でリッチな生活が味わえるというわけ。
ただし、当然のことながら価格は高い。一戸数億円というのが相場であり、とても庶民に手が届くようなものではありません。
現状、海外のブランドが多くなっていますが、国内不動産大手も興味を示しており、今後、ホテルとマンションが入り交じった高級物件が増えていく可能性があります。
有名な話としてホリエモンはホテル暮らしをしているようです。また古くは映画評論家の淀川長治さんなどもホテルで暮らしていたということです。
ホテル物件は今後、高級ホテル型の物件と安いビジネスホテル型の物件に二極化し、ホテルという一つの言葉ではくくれなくなりそうな気配です。
最後に
Jリートの利回りは総じて下がりました。平均分配金利回りは3.5%を切っています。
トップクラスでも5%前半が目いっぱい。一昔前は6%以上がゴロゴロしていたのに、世界的金融緩和がJシート市場にも大いなる影響を与えています。
この程度の利回りであれば、業績堅調で値上がりも期待できる高配当株のほうが魅力が大きいというのが個人的な見方です。
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