株式投資にも生かせる標準偏差とは何か、その求め方は?(数学嫌い向け)

数学



株式投資をするにあたっては高等数学の知識などは不要(あったほうがよいのでしょうが)。算数ができれば十分だと考えます。

しかし、できれば確率・統計の知識はあったほうがよい。とはいえ当方数学はめっきり苦手・・・。

でも最低限の知識はもっていたほうが良かろうというわけでまとめておきたいと思います。後で自分でも見返すことができますし。



平均値だけでは見えてこない世界


平均という概念はほぼすべての人が保有しているでしょう。しかし、平均値が同じでもデータのばらつきによって、その意味合いはかなり異なってきます。

例えば、3銘柄のPER(株価収益率)の平均が20倍だったとします。

しかし、10倍と20倍と30倍の銘柄があった場合と18倍と20倍と22倍の銘柄があった場合では平均が同じでもその散らばり具合が大きく異なります。

前者の場合は平均よりかなり高い値のPERの銘柄でも買う価値があると考えられますが、後者では慎重にならざるを得ません。

標準偏差の求め方


そこで、出てくる概念が標準偏差です。データの散らばり具合を数値化して、ある一定の範囲にどの程度の確率で収まるのかが把握できるというものです。

(10倍、20倍、30倍のケース)
平均は20倍ですが、大きくばらついています。では標準偏差の求め方です。

まず、平均からどれだけ離れているか計算します。

10-20=-10
20-20=0
30-20=10

ここで、-10+0+10で散らばり度合を計算しようとすると無理が生じます。なぜなら、マイナスの数字とプラスの数字が混在しており相殺されてしまうからです。

そこで、マイナスの数字を無くすために引き算をして求めた数値を2乗してあげます。

-10の2乗=100 
0の2乗=0
10の2乗=100

これでマイナスが無くなったので相殺されることはありません。

100+0+100=200

この200をデータ数の3で割った数字を「分散」といいます。

200÷3≒66.7 ・・・分散

この数値をルート(平方根)して出てくる数値が「標準偏差」です。

66.7の平方根≒8.2 ・・・標準偏差


標準偏差の活用方法


標準偏差を求めることで、いったいどの程度データが散らばっているかが手に取るようにわかるというわけ。

確率的に、

20-8.2=11.8
20+8.2=28.2

11.8から28.2の中に68.3%の確率でデータが収まることとなります。(なぜ68.3%なのかは知らない・・・。)

さらに、

20-8.2×2=3.6
20+8.2×2=36.4

標準偏差を2倍して平均に加減した3.6から36.4の中には95.4%の確率でデータが収まります。

そしてさらに

20-8.2×3=-4.6
20+8.2×3=44.6

標準偏差を3倍して平均に加減した-4.6から44.6の中には99.7%(ほぼ100%)の確率でデータが収まります。

散らばりが少ないケースと比較


(18倍、20倍、22倍のケース)

では散らばりが少ない上記のケースではどうなるでしょうか。

計算すると、

18.4から21.6の中に68.3%、16.8から23.2の中に95.4%、15.2から24.8の中に99.7%の確率でデータが収まることとなります。

もし、PERが25倍になればレアケースの株価上昇と考えられ、売却を考えるタイミングであるといえるでしょう。

しかし、前者であれば25倍はまだまだ十分に許容範囲だと考えてよいことになります。

最後に


上記を図に表すと以下のようになります。

20210428hennsa.jpg
(出所:総務省)

標準偏差はさまざまなデータ分析に応用でき、現状分析や将来の予測に役立てることができるはず。

数学嫌いでも把握しておいたほうがよさそうです。

近いうちに「相関係数」「偏差値」(←嫌な響き)についてもまとめてみたいと思います。

【関連記事】
標準偏差について(投資に役立つ数学知識)
擬似バフェット指標(再掲)
日経平均÷東証リート指数=NR倍率!?
失敗してそうな投資家の特徴
食料自給率と出生率に相関関係あり!?
不動産株とJリートの相関関係は?

↓↓応援クリックお願いします↓↓

にほんブログ村

わかる・使える経済・金融の数理入門 金利・利回り計算から金融工学(デリバティブ)の基礎 [ 角川総一 ]

価格:1,760円
(2021/4/28 21:02時点)



世界一やさしい金融工学の本です [ 田渕直也 ]

価格:1,760円
(2021/4/28 21:04時点)




関連記事

コメント

非公開コメント