半導体不足でクルマも作れない。でもなぜそんなことに?

半導体



現代の産業の米といえばなんといっても半導体。その半導体が今、世界的に不足しています。そのせいで自動車の生産ラインがストップしてしまうほどの影響が出ており、世界の産業に多大な影響を与えています。

しかし、いったいなぜこんなことになっているのでしょうか・・・。

その原因は2つの要素に分解できます。1つは供給能力の低下、そしてもう1つが需要の増加です。



供給能力低下要因その1(寒波)


アメリカの半導体一大生産地テキサス州に2021年大寒波が襲いました。記録的な降雪また寒波の影響により電力が大幅に不足。

電力会社は大量に電力を消費する半導体工場に対し、稼働中止を要請しました。

春になってようやく生産が再開し、工場はフル稼働状態に戻ってきておりますが、寒波で止めていた期間の不足にはまだ間に合っていません。

これが1つめの要因です。

供給能力低下要因その2(火災)


アメリカの寒波による生産量低下に拍車をかけたのが日本の半導体メーカー、ルネサスの茨城県ひたちなか市にある工場の火災です。

2021年3月19日に火災が発生し、生産中止に追い込まれました。4月半ばに生産を再開したものの生産能力は火災前に10%弱まで低下しています。

火災前の水準に戻るには数か月の時間がかかりそうです。

需要増加要因その1(ファーウェイ問題)


2019年に勃発した米中貿易戦争。これにより中国のスマホ最大手、ファーウェイがアメリカの制裁を受け、半導体の調達ができなくなりました。

そこにつけこんだのが競合各社。ファーウェイが弱っている間に一気にシェア拡大を目指し、一気に半導体調達に走りました。

これにより需給がひっ迫しています。

需要増加要因その2(巣ごもり需要)


ソニーの業績が絶好調です。その原因はゲームが好調であること。なぜゲームが好調かといえばコロナ禍で巣ごもり需要が活発化しているからです。

その他、テレワークの進展により新たにパソコンを買う人も増え、ゲーム機向けやパソコン向けの半導体需要が拡大しました。

需要増加要因その3(自動車生産の急回復)


2020年後半から自動車の生産が持ち直し、それに伴い自動車向けの半導体需要が増加しました。

現代の自動車はハイテク装備が多く、当然、半導体需要も多くなります。もはや自動車は走るスマホと言っても過言ではありません。

自動運転の進化によりこの傾向はますます加速するはず。

しかし、皮肉なことに半導体の不足によって自動車の生産ができなくなり、2021年は世界で200万台以上の機会損失が発生すると見られています。

半導体産業の地政学的リスク


今、世界の半導体の輸出は台湾、韓国、中国など新興アジア諸国が8割を占めており寡占化が進んでいます。

アメリカ、日本、ヨーロッパの地位は下がるばかりです。

このような事態を招いたのはアメリカ、日本、ヨーロッパのメーカーです。安く半導体を調達するため、台湾、韓国、中国などに生産を委託し、自国での調達が困難となりました。

今回の反省をもとにアメリカ、日本、ヨーロッパ各国は自国での生産回帰に動き出しています。マスクと同じ構図です。

工場の巨大化も潜在的リスク


半導体工場が巨大化していることも、潜在的リスクを高めていると考えられます。

台湾、韓国では10年前に比べ、一工場の生産能力が2倍になっているといいます。その分、なにか事が起これば一気に供給能力が低下するわけです。

これは日本も同じ。

ルネサスは国内の22工場を9工場にまで集約しました。火災があった工場は主に自動車向けの半導体を製造していたため、自動車産業に与える影響が大きくなりました。

最後に


半導体が不足すれば活躍する銘柄は半導体製造装置を作っている東京エレクトロン(8035)。株価推移を見てみましょう。

20210508_8035.jpg

やはり上げがすごい。コロナ騒動などどこ吹く風といったところ。

2021年、世界の半導体市場は前年比8%増の53兆円にも上る見通しです。しかし、一方でこれまで何度も繰り返してきたようにシリコンサイクルと呼ばれる市況変動が今後も続くことは間違いない。

シリコンサイクルは4年から5年周期で回ります。

半導体関連株の動きを見ると2019年初頭に底打ちしています。となれば2022年中にピークをつける可能性が高い。

あと1年以上は半導体の逼迫が続くと思われますが、2022年後半から2023年にかけて再びダブついてくるものと予想します。

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