ドン・ファン事件の容疑者が逮捕された日に国会で決議されたこと

新聞



スピン報道という言葉があります。不都合なニュースが注目されるのを防ぐため、代わりに多くの大衆の話題となる別の報道を大々的に行い関心を逸らすことをいいます。

簡単にいえば、どさくさ紛れです。



ドンファン事件で話題はもちきり


世間を騒がせた紀州のドンファンと呼ばれた老人が亡くなったのは今から約3年前。

その後、話題も沈静化して人々の心から忘れ去られつつあった中、突如として、元妻が逮捕されました。2021年4月28日早朝のことです。

世間は再び騒ぎ出し、ワイドショーのみならずニュースもこの話題で持ち切りとなりました。

世間の話題をさらうことは当然予想されたことです。なにしろ事件の背景が異様だったのですから。

話題の影のどさくさ紛れ


ところで、逮捕日と同日の4月28日の午前、ある重要な議案が参議院で可決しました。

日中韓やASEANなど15カ国が参加するRCEP(地域的な包括的経済連携協定)です。

RCEPはアメリカは参加しておらず(アメリカはTPPから離脱してしまいましたが)、インドも参加を取りやめるなどした中国主導で進められている多国間の貿易協定です。

RCEPはTPPに対抗した協定であり、西側諸国への対抗という側面が強い。

RCEPが発効すれば、世界の人口やGDPの約3割を占める巨大な自由貿易圏が生まれることになります。その中で中国の発言力が著しく高くなるのは当然でしょう。

日本はTPPに参加しているのになぜRCEPに参加するのか?という疑問が湧いてくるのは自然であり、政府にはその批判をかわしたいという思惑が働くのは明らかです。

※RCEP
ASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)とオーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国の間の経済連携協定。15か国で世界の人口とGDPの3割を占める。インドは2011年からRCEP交渉に参加していたが、交渉の最終時点の2019年11月に交渉から離脱した。インドが抜けたことで、中国一強となり貿易ルールが中国主導となる可能性が懸念されている。


ほかにも疑われる事案が


そこに降って湧いたかのようなドン・ファン殺人容疑での元妻逮捕。煙幕を張って話題をそらし、人々の関心を集めなくするには打って付けの事件でした。

ところで2018年7月6日、オウム真理教の教祖、麻原彰晃とその幹部6人が処刑されました。

同日の2018年7月6日、日本は、TPPに関し、協定の寄託国であるニュージーランドに対し、国内手続の完了を通知しています。

TPPも新自由主義が加速するなど国内で批判が多かった多国間の貿易協定であり、今回のケースとそっくりです。偶然なのでしょうか。

あれだけ世間を騒がせた世紀にまれを見る大事件の犯人が処刑されれば(全部で7人)、ニュース、ワイドショー、新聞などがそれに飛びついて他の話題が疎かになるのは目に見えているし、一般人の関心もそうでしょう。

平時だったら批判の的になりそうなことをどさくさ紛れにやってしまったと思われても仕方がないのではないでしょうか。

最後に


時の話題をさらい、その後人々の記憶から忘れられたような事件を思い出させるような事案が発生したときは、裏で何かが動いている可能性が強い。

いわば火事場泥棒みたいなものです。

芸能人の麻薬による逮捕なども利用されがちなパターンです。世間があるニュースで持ち切りになっているときは、特に小さなニュースに目を向ける必要があります。

政府がどさくさ紛れに評判の悪い法案などを一気呵成に可決させるような暴挙に気をつけなければなりません。

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