上場企業はコロナ禍でも増益(2021年3月期)。しかしその中身が・・・

2021年3月期(2020年4月~2021年3月)の上場企業の決算がほぼ出そろいました。
意外なことに前期(2019年4月~2020年3月)に比べ、上場企業トータルで26%の増益。コロナ騒動の中でも純利益を増やしているのです。
いったい何が起こっているのでしょうか。
2020年度下期がひどすぎた
なにより、前下期(2019年10月~2020年3月)の落ち込みがひどすぎたことが今回の増益要因になったといえます。
コロナ騒動の影に隠れていますが、2019年10月の消費増税の影響が大きい。
それに追い討ちをかけたのが新型コロナウイルスというわけですが、影響が本格化したのは2020年2月からです。
よって2019年10月~2020年3月の落ち込みの原因はほぼ消費増税といってもよい。そこにコロナ騒動が降って湧いたのですから弱り目に祟り目となってしまいました。
景気動向指数(※)の動向を見ればそれは明らか。

(出所:ニッポンの数字)
先行指数がどんどん悪化しつつあり、この先景気が悪くなることがわかっていながら消費増税を強行した安倍政権の罪は重い。
コロナ禍はいつかは収まりますが、消費増税は減税しない限り悪影響がずっと続きます。
デフレ下での景気悪化局面において増税の愚。ほとんど何も考えていない暴走といってよく、その後のコロナ対応は迷走であったのはご存じのとおりです。
再び安倍待望論なども出ているようですがまったく信じがたいことです。
(※)景気動向指数
景気の現状を知ったり、将来の動向を予測したりするときに使われる経済指標。経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されている。景気動向指数には数か月先の景気の動きを示す先行指数、景気の現状を示す一致指数、半年から1年遅れで反応する遅行指数と3つの指数がある。
景気の現状を知ったり、将来の動向を予測したりするときに使われる経済指標。経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されている。景気動向指数には数か月先の景気の動きを示す先行指数、景気の現状を示す一致指数、半年から1年遅れで反応する遅行指数と3つの指数がある。
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勝ち組、負け組が鮮明に
トータルで増益となっているといっても、ミクロの個別企業でみればバラバラであるのは当然です。
好調を維持できたのは下期(2020年10月~2021年3月)に急回復できた自動車産業や電気機器産業など製造業が中心です。
その一方で緊急事態宣言などの影響をもろに受けている外食や宿泊、航空、鉄道、旅行産業などは悲惨といった状態が続いています。
新型コロナが追い風となった産業と逆風になった産業で明暗がくっきりと分かれてしまいました。いわゆるK字経済です。
勝ち組の勝ち方も判定勝ちみたいなもの
増益企業の増益要因も多くは経費削減によるものであり、寂しい限りというのが実態です。
人件費の抑制、交際費や出張費の減少などによるもので、売上拡大による増益ではない縮小均衡型の増益確保であり、必ずしも喜ばしいものとはいえません。
異様なソフトバンクグループの存在感
なにより異様なのは2021年3月期決算の上場企業の純利益の2割近くをソフトバンクグループが占めていることです。
ソフトバンクは事業会社というよりも投資会社であるというのが実態であり、パンデミック下での各国の金融緩和により株価が大きく上昇したことで利益を大きく伸ばしました。
ソフトバンクの存在を除けば2021年3月期はほとんど横ばいというのが真実の姿であり、ミスリードな理解に陥りかねません。
(参考:ソフトバンクグループ(9984)の株価推移)
●ソフトバンクグループ(9984)

そのソフトバンクの株価もピークアウトした感があり、さらなる世界的株価上昇には暗雲が立ち込めてきたように感じます。
最後に
さて、今期(2022年3月期)はどうなるのでしょうか。
ウイルス騒動の動向によって大きく左右されることにはなるのでしょうが、現状の予想では2021年3月期に比べて3割ほど増益になるのではと予想されています。
金融相場から業績相場への移行が一段と進むと思われます。
そして、コロナ騒動により広がったK字経済を正常化させることが政府の使命だと考えます。
そのためになすべきことは財政拡大と消費減税そして中国による国防への脅威への対応、この3つが次期総選挙の争点となることは間違いありません。
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