日銀のETF買いが確実に減少。買入のハードルが高くなる

モニター



日銀による金融政策の一環でもあるETFの買付のペースが確実に鈍ってきています。

ここまで株価が上がれば買い支える必要もないといったところなのでしょう。

しかし、今後の株式市場の見通しも混沌としています。これから日銀はどのように動いていくのでしょうか。



日銀は日本株式会社の大株主


日銀はずいぶんと日本株を買ってきました。主にETFを通じてです。

日銀が保有するETFは東証1部時価総額の7%ほどにまでなり、日経225採用銘柄や東証1部上場銘柄の株価だけが歪に上昇するといった副作用も指摘されるところです。

しかし、2021年3月の金融政策決定会合では、株価が堅調に推移する中でも買い入れを続ける現在の手法が疑問視され、必要な時に思い切って積極的な買い入れを行うようその手法が変更されました。

具体的には株高局面では買いを控え、市場が過度に不安定化した局面では買いを積極化するなど、リスクの大小に応じたメリハリのある対応をすることとなったのです。

日銀のETF買いのハードルは高く


さて、市場が不安定化した局面とはどんな局面なのか。その仔細は明らかになっていません。

しかし、一部の市場関係者の間では、午前中にTOPIXが2%超下落すると買いを入れているのではないかとの見方が広がっています。

TOPIXで2%といってもピンときませんがざっくり言えば日経平均が600円程度下落しないと買いを入れないと考えればいいでしょう。

今までは1.5%、その前は1%だったのではないかと推測されており、日銀は少々の株価下落は容認する方向に舵を切ったと考えることができます。

ルールが明確化されていない以上、杓子定規に動くとは思えませんが、株価が暴落せずにじり安を続けた場合、日銀の買い支えは入りにくくなったといえます。

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日銀の株式保有ルート


今まで、日銀は3つのルートで株式を購入してきました。

1.2010年に始めたETF買いによる株価下落時の買い支え

2.2016年から原則毎営業日買ってきた設備・人材投資支援型の新型ETF買い

3.金融危機時に金融システムを安定化させるために銀行からの個別銘柄買い

1は、買付発動のハードルが上がったのは前述のとおりです。そして、2は今年度に入って購入がストップしています。

3に至っては2016年から徐々に市場での売却を進めています。2026年まで毎年3,000億円程度売却していく方針のようです。

今後は日銀に過剰な期待はできない


株式市場において、日銀は徐々に株式の買いを細めています。暴落がなければ売り越しに回る可能性も出てきました。

東証1部上場銘柄などはこれまである種、企業努力を怠っていても日銀が自動的に株を買ってくれて株価を支えてくれました。

今後それは期待できません。

東証の市場再編も待ったなしとなり、のほほんとしていると上場企業は市場再編の波に飲み込まれてしまうことになりそうです。

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